福島県教育センター所報ふくしま No.10(S48/1973.3) -007/021page

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  とグラフが直線にならなくなり,熱量を求める上で誤差が大きくなってくる。

 4. アルコールの沸騰は10分位がよい。短いとアルコールに原因する誤差が大きく影響し,長過ぎると水温による誤差が大きくたる。

 5. サーモカッブが熱アルコールによって若干溶かされる。しかし,2〜3回位で穴があく訳でないので十分使用に耐えられる。ビーカー代用も考えられるが熱量保持の点からはサーモカップが最良である。

 液体から気体になる時(粒子の離散)なぜエネルギーが必要なのか(吸熱現象)を,粒子モデルを使い粒子の熱運動から説明するが,抽象度の高い粒子の熱運動,粒子間の引張り合いを講義だけですまさないで,実際に気化熱を測定させれぱ,生徒の理解度は上昇するし,知識の定着する割合が高い。離散が吸熱現象であることから粒子の集合は逆反応なので発熱現象であると考え易い。ロウソクの融解熱の測定ができれば,なお一層物質の三態をエネルギー的に理解させることができる。

 このようにエネルギーと状態変化の関係を追求していけば,粒子の結合の強弱の問題にまで発展していく。中学生の程度を越えるが高等学校では取り扱っており,中学校でその初歩的な導入を行なっておくことは,教育の一貫性から考えて極めて大切なことである。

   おわりに

 1と2の実験は,同時に連続して実施される教材ではないが,全く無関係な実験ではない。2の目的2で述べたように,燃焼する時の熱(物質変化)と気化する時の熱(相変化)を比較し、物質変化と相変化という変化の本質的な差異をエネルギー面から考察させ,中学校段階で,この二つの変化を混同しないように十分指導を行なわねばならない。

 前述のようにエネルギー概念は粒子概念に比べて難かしいので,低学年から折にふれ次の点に留意しながら指導しなければならない。

 1. エネルギーをモデル化して考えさせる。
 2. エネルギー直などデータを豊富に活用する。
 3. エネルギー概念の理解を助ける実験の開発と実施しかし,エネルギー概念指導の前提になるマクロ的,ミクロ的指導が十分行なわれて,初めてエネルギー概念の指導が生きてくることを最後に善き加えておきたい。


 小・中学校教材

         実験法の改善例2・3

                          第2研修部 本田 孝

 この教材に対してはこの実験を、ということは,基本的にはきまっていない。指導要領のめざす方向にしたがって,教師の教材に対する見方や考え方がきまり,授業をどのように組織し,その中で行なわれる実験は,教師の考えた実験にしても,児童生徒の考えた実験にしても目標を達成する…ということからは自由なはずである。

 しかし,日常の教育活動の中で全教科を扱いながら,実験内容や方法をどう改善するかは,なかなかむずかしい仕事であり、つい教科書にある実験だけでまにあわせるということが出がちである。

 授業過程は論ずるが,実験内容方法はさっぱり変わっていないというのでは,せっかくの研究がもったいないような気がする。

 つぎに紹介するのは,現在一般に行なわれているような実験方法とか,実験器具に,わずかの改良を加えることによって,実験結果がよくわかり教材の目標をさらによく達成できるようなものを,小中学校の教材別に2,3例示したものである。参考になれば幸いである。

<小学校教材>

1. こん虫の活動と温度との関係を調べる(4年生)

 この実験の意味は,こん虫は適した温度の中でもっともよく活動することをわからせ,さらにそのことから,適温ならよく産卵し,なかまをふやし続けることができるということを理解させ,その考え方を動物一般にまで発展的に考えさせようとするものである。

 実験の方法としては,適温の場合と比較して異なることからわからせようとしている。

 具体的には一般に原理としては,ショウジョウバエのはいった容器を直接氷水の中に入れて温度を下げたり,熱して温度を上げたりという方法がとられている。

 この方法だと,たしかに結果は早く出るが,適温よりほんの2〜3℃上下しただけで全部容器の低面に落下して動かなくなるという結果を生じやすい。

 原因としては,温度の変化が急激であるためで,実際の生物(ショウジョウバエ)の自然環境での温度と活動の関係から比較すると,あまりにも差が大きく,結果的には好ましくない実験法ということになる。

 実験の結果は,そのまま自然にかえしても,できるだ


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