福島県教育センター所報ふくしま No.10(S48/1973.3) -011/021page
この講座は,小学校におげる教育機器を導入した学習指導法の改善について研修することをねらいとして,次のような内容について実施した。
・講義 教育工学概論
プログラム学習とティーチング・マシン
学校放送の利用について
・実習 OHPの使用法とTP作成
VTRの使用と録画教材の作成
シート式録音機の使用とシートの作成
アナライザーの機能と利用法
・研究協議 教育機器活用の現状と問題点教育機器を利用した学習指導の実際については,当センターの教育工学研修室で授業観察ができれば,より効果的な研修ができたのではたいかと思われる。
小学校国語講座
「近代学習理論」「教育工学」「教授組織の改善」というように,小学校の国語科担任としての研修のみにとどめず,校内のよきリーダーとしての資質を高めることを考えた講座計画をたてた。そのため,内容に欲ばった面が見られるのはいなめない。研修生の多数は,講座内容を是としながらも,もっと余裕のある時間のなかで,問題点を深くほりさげていきたかったといっている。こんごの計画をたてる段階で検討を要する点でおる。
国語科の全領域をとりあげてみたが,理論研究が先行したきらいがある。良き作文の指導者は,自分で作文をかくことであるし,多くの読書をする教師に指導された児童生徒は,読書欲が高まるといわれていることから考えて,これからは教師自らが,書き,読み,作文するという内容をもった講座にしたいと思う。
小学校社会講座
前・後期5日間ずつ,計10日間の研修期間で, 1 教科の専門教養, 2 教師としての一般教養, 3 教育研究法にもとづいての研究実践,などの三()のねらいをもった研修を行ない,内容的には,現場の学習活動に役立つものに大学の講義のような理論的な裏付けをもって,理論と現場実践の中間をゆくことをねらった。
この実施結果の反省として,
a ねらいが多く,内容が盛り沢山すぎて,限られた期間内では,いずれも中途半ばになってしまう。
b 研修希望者が多く,年間研修人員40人では,ローテーションがおそすぎる。
c 理論的内容よりは,演習的なものが勉強になった。などがあげられたので,新年度には,研修期間を5日間にし,人員は80人。そして,内容は教科の専門的なものにしぼり,演習や協議などにカをいれる予定でいる。小学校算数講座
前期,9月26日〜9月30日,後期1月30日〜2月3日と10日の日程で,40名の先生方が参加された。講座内容は,前年度と同様に,前期には,数学各領域の基本的考え方と教育研究法を,後期には,「教材内容の扱いと指導の要点」等,教科の指導法を中心に編成した。前期,後期の間が4ヵ月,この間に,在職校での教育研究法をふまえての研究は,短期間ではあったがいずれも質的に格調の高い実践研究であった。この報告会での討議も活発であり非常に成果があったと評価している。参加の先生方の意欲とご苦労に,心から敬意を表している。次年度の講座内容も,参加の先生方のアンケートをじゅうぶんに考慮し,教育研究を核として,数学各部門の基本的考え方,および領域別の指導法を加味し,充実した研修ができるようにしたいと考えている。
小学校音楽講座
5月17日から5月20日までと,6月20目から6月23日まで4日間ずつ,小学校教員60名に対し実施した。
講座内容は,激動する情報化社会に対応するこれからの音楽教育のあり方と,情操教育に志向する音楽科のあり方を究明し,そのための本質的音楽の教材精選のし方,指導計画のたて方,およびその指導法を考察することと,それにともなう教師の技術の向上として,発声法・指導法・たて笛による小アンサンブルを実施した。
発声法については,音声学からの発声構造の理解と腹式呼吸について行ない,指揮法については,合唱合奏の指揮法というより,音楽の本質を体で追求する基本的な内容とし,小アンナンブルについては,ソプラノ笛・アルト笛の奏法とグループの発表により,小アンサンブル技術向上をはかった。
小学校図画工作講座
1. 内容と成果
(1) 鈴木栄講師による図工科指導の問題点と題する講義
(2) 所員による木材を主材とした壁飾りの製作
(3) 米倉見講師によるやきものの絵付け,焼成
(4) 山川忠義講師によるクロッキー,水彩による人物写生
いずれも講師の懇切な指導と受講生の熱心な自主的研修により期待適1〕の成果が得られた。2. 研修の反省
(1) 直接現場で使用できる教材について研修したかったとの意見があった。とりあげる教材の難易度について考慮してみたい。
小学校体育講座
研修は,小学校体育科の抱えている問題について,理論を中心に30人の先生方とともに4日間ずつ2回行なった。
その結果,(1) 体育の一般的理論を中心に行なわれた