福島県教育センター所報ふくしま No.10(S48/1973.3) -018/021page
識と教育,第2教育的文化と社会認識,第3生活行動と社会認識とし,第2の「性意識の認識」を中心に研究をすすめることにした昨年の質間紙法による調査結果をもとにし,本年は面接調査によりその過程を追求することにした。おもな内容をあげると,
1 性意識についてのみ方・考え方
2 性認識についての機会や関心
3 性認識の形成過程とその取り扱いであり、面接調査の対象は次のようである。
ア,小学校2校6年80名
イ,中学校2校2年80名
ウ,高等学校4校2年160名この結果は報告書にまとめ,各学校に提供する予定である。
(5) 教育相談の基礎的研究
児童・生徒の教育上の問題について,診断(理解),処置(対策),治療(指導)といった相談活動は,臨床心理学を中心として,その他の科学的理論や方法に基づくもので,ある程度の訓練を受けた専門性が必要になる。しかし各学校においては,必然的に対処しなければならない。それで当教育センターでの相談事例や,各学校におげる代表的な事例について分析し,科学的な診断・処置を加えてまとめ,提供することにより、各学校での教育相談を援助し,その推進をはかることにした。そのおもな内容をあげると次のようである。
1 知能や学業に関する事例
2 性格や行動に関する事例
3 進路や適性に関する事例
4 身体や神経に関する事例
5 しつけや子どもの教育に関する事例その結果を報告書にまとめ,各学校に提供する予定である。
2. 教育相談の状況
小・中・高校の児童・生従を対象として,学薬・行動やしつけなどの教育に関する問題について相談に応じ,問題ー1、宗の発見・診断を行ない,処置(対策)について助言し,可能な範囲において直接治療にあたつている。また,学級における教育相談の計画・運営などについても相談に応じている。相談の内容と件数については次のとおりである。
教育相談の内容および件数の概要 分 類 内 容 来談 通信 知能・学業に
関するもの精神薄弱
学業不振
学習態度など44 5 性格・行動に
関するもの登校拒否
集団不適当
乱暴など64 14 進学・適正に
関するもの進路の選択
適正など2 1 身体・神経に
関するもの精神医学的な問題
精神身体症状など3 0 教育一般に
関するもの子どもの教育
しつけなど18 5 計 131 25 来談を希望するものは多いが,・らられた条件で制約を受けている。いっそうの研修と奉仕につとめたい。
3. 教育資料の充実および普及の状況
教育図書については,本年度970冊の増加をはかって,16,000冊を数えるようになる。教育資料については,1,350冊の供与を得て9,500冊の整備をみることになった。これらの配架については,活用を主とした管理方式として,新たに分類をくふうするなど,研究・研修の便をはかっている。また,教育実践・研究活動をより推進するため,教育センター所報を年5回発刊し,各学校に提供した。さきにあげた研究課題の成果も研究紀要にまとめ提供する予定である。
4. 福島県教育史の刊行
福島県教育の歩みを史実にもとめて,その進展過程で本県教育の果たした役割,特殊性を明らかにするとともに,教育実践・研究の努力を顕彰し,本県教育の進展をはかる目的で,本史5巻・資料集11集の刊行に着手した。本年度は第4年次として,次のような本史と資料集を発刊する。
1 福島県教育史 第2巻 一近代後期編一
2 福島県教育吏編さん資料 第7集 一明治期の教育実践集一この間の古文書・資料の収集は次のようである。
ア,古文書・県庁文書の調査・収集約960冊
イ,官報・年報などの集録検討約30冊
ウ,貴重資料の写真など約1,600一点これらの文書資料は,改装して分類整理し,保管にじゅうぶん配慮する考えである。写真資料については,「福島県教育史史料目録カード」により整理し保管するとともに,将来は三「写真による教育史」としても活用できるものと思われる。