福島県教育センター所報ふくしま No.11(S48/1973.6) -004/025page

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3. 発見学習における基礎的な学カ

 教育の現代化をはかること,それは基礎的で本質的な知識を身につけさせるための,各々の教科における教材の基礎的知識の設定と,ある知識の獲得の過程をくぐらせることによって問題を解決してゆく能カや態度を身につけるための発見的・創造的な学習方式が発見学習であり,そのための原理原則の設定が必要になる。
 このように,教育の現代化の要請にこたえるための学習はこの二つのことをふまえた学習方式をとることであり,それは発見学習または探究学習の導入であり,この方式を探究し,そしてこの方式により毎日の授業の営みを探究的に学習をすすめる研究の基盤とすることである。

(1) 国語科における発見学習の対象(基礎)
 国語科においては,この基礎は意味内容的価値と文章機能の二つのことから次のようになるだろう。

(ア)意味内容的価値
   説明的文章・・・・・要旨,意図
   文学的文章・・・・・主題,意図
 なお,主題や要旨を発見していく前提としては,次に掲げる語,文,文章の機能を読みとる必要がある。これらは意味構造を構成する要素であり,発見の具体的な対象とすることができる。また,これらを方法技術としておさえた場合,これらはそのまま技能的価値となるのである。

(イ)文章の機能(意味構造にかかわるもの)

○説明的文章
(ア)ことばの機能
 ○接続語,助詞,指示語,文末の表現意図,重要語句
(イ)文の機能・事実と意見,描象と具体,原因と結果,引用と比楡
 ○文の連接関係・・・・・展開,略加,反対,補助,転換等
 ○文章の構造

○文学的文章
(ア)ことばの機能
 ○意味構造にかかわる重要語句,文末の表現
(イ)文,文章の機能
 ○場面の心理や,情調
 ○人物の心理や思想
 ○文章の主題や表現意図


(2) 社会科における発見学習の対象
 社会科においては,この基礎は,内容的側面と方法的側面から次のようにあげることができるだろう。

(ア)内容的側面(社会現象・事象のもつ本質)
 「その現象・事象は何に起因しているか」という問題意議をもって,
 ○社会現象の底にある
 ○メカニズム,法則性,一般性
(イ)方法的側面
 「そのためには,どのように分析的に考究すればよいか」という探究心をもって
 ○既知の資料・情報を収集し,未知の資料・情報を発見し,構成していくこと。


(3) 音楽科における発見学習の対象
 音楽科においては,これは「基礎」領域ということになる。その捉え方としては,その素材が,古今東西の音楽を整理統合して立てた音楽の諸要素や機能の体系の中で考えられているリズム・旋律・和声によることが一番合理的である。この三つの要素の外に音色・形式・楽譜等があるけれども系統性や基礎的能力の面から考えた場合,やはり,リズム,旋律・和声の三つの要素を対象とすべきであろう。
 この三つの素材から,次のように分析して発見学習の対象を,設定することができるであろう。
 なおこの対象を設定するにあたっては,国語や杜会と異なる点は知識にかわって技能となることと,感性面を重視することである。したがって,この対象を設定するにあたっては技能と感性と知性の三つが含まれたければならない。

(ア)リズム
 ア 単純拍子と複合拍子
 イ リズム型とリズムフレーズ
 ウ 表情の変化と標語・記号
 エ 複リズム
 オ 拍節的でないリズム

(イ)旋律
 ア 高低の変化とその感じ
 イ いろいろな音階の特徴
 ウ いろいろな終止とフレーズのまとまり
 エ 音程の協・不協と度数

(ウ)和声
 ア 和音のはたらきと聞き分け
 イ 和音のはたらきと非和声音
 ウ IIの響きやそのはたらき
 エ 和音の響きと和声進行
 オ 転調

 紙数の関係上三教科についての例をあげたが,これはどの教科も,この対象を設定することカミできるであろう。
 教育が現代化を志向し,調和的人間形成をめざす教育は,このような考完に立って学習カミ行なわれなければならないということであり,発見学習を探究し,その教科の本質的な原理学則をみきわめ,教材の構造化をはかり,学習法を探究していくことである。


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