福島県教育センター所報ふくしま No.11(S48/1973.6) -006/025page
は,授業の目的を実現するために最も望ましいように設計され運用されなければならない。
(3) 入出力があること
入出力とは,入カと出力のことである。入力はインプット,出力はアウトプットという。インプットとは,目的を達成するためにはいっていくものであり,アウトプットとは,ある目的を達成して出てきたものである。このものは,物だけでなく,あらゆる事象,現象を意味する。
授業システムにおけるインプットは,学習目標である知識や技能をまだ習得していない学習者である。アウトプットは,知識や技能を習得した学習者である。(4) フィードバック機能をもつこと
フィードバックとは,制御すべき量が目標値からはずれたとき,その偏差をただちにつかんで修正動作させることである。この修正のしくみでは,アウトプットの全部または一部をインプットに送還し,その後の出カを調節する。このアウトプット側からインプット側への情報送還をフィードバックという。
教授・学習過程では,学習者の反応を教師側にフィートバックすることによって,教師は教授効果を測定し,授業システムの目標値との偏差を測定しプログラムを修正する。したがって,授業システムはフィードバックの機能をそなえていると考えることができる。授業システムは,人間をインプット,アウトプットとするプロセス制御システムである。学習者はインプットであると同時にシステムの構成要素ともなる。授業システムのインプットである学習者は,単なる対象としてでなく,システムの構成要素として,みずからの主体的努が−学習活動−によって,新しい知識や技能を習得して,アウトプットとして出ていく。
授業システムの構成要素である教師の活動,学習者の活動,指導の型,授業の流れ,学習形態,教育媒体などは組み合わされて,教授システム,学習システム,ハードウェアシステム,ソフトウェアシステムなどのサブシステムを構成し,さらにそれらのサブシステムが組み合わされてトータルシステムとしての授業システムを構成している。このトータルシステムとしての授業システムは,情報伝達のプロセスでフィードバック情報によって制御されるプロセス制御システムとして設計されなければまならない。
授業システムの制御の特性は,サンプル値制御である。授業におけるフィードバック情報は,学習者の反応によって決定される。学習者の反応は授業の全プロセスにおいて連続的に表われるのでなく,ある時点において断続的に表われる。そのためサンプル値的性格をもっている。授業システムを最適なものにするには,プロセス制御の時期が重要なものになってくる。そこで授業システム設計においては,チェックポイントの設定が重要な課題となってくる。3. 授業システムの設計
システム設計とは,システムの目的を設定し,目的達成のための方法・手続を,関連ある組織・制度・設備などにわたって定め,さらにそれに必要な作業を効果的に遂行する手法・手順を決定し,加えて,その統制の方法と,結果の評価の基準を定めることである。
このような考えにもとづいて,授業システム設計の手順を考えれば,つぎのようになる。
そのためには,まず問題をとらえ目的を明確に設定し,次に問題の方法論的な調査を行ない,問題を関連項目に細分して,その関連を明らかにする。システム設計を目的とした諸問題の調査分析をシステム分析という。
システム設計の手順は,つぎの図のようにまとめられる。
(1) システムの目的を明らかにする。・・・・・(学習目標を明確にする)
(2) システムの評価の尺度をつくる。・・・・・(評価問題などの作成)
(3) システムの構成要素を設計する。
1. 目標を分析し,構造化する。
2. 教材(経験)を選択する。
3. 教授・学習過程をきめる。
4. 媒体,学習形態,学習活動を選択する。
5. 教材への反応場面を構成する。
(4) 構成要素を組み合わせサブシステムを構成する。
(5) 授業システムの設計されたものを,フローチャートにまとめる。
(6) 教材製作をする。
(7) トライ・アウトする。
(8) 新授業システムを修正する。
(9) 授業を実施する。
4. 授業システム設計における学習目標の設定
授業システムの目的は,インプットとしての学習者を,新しい行動を習得したり行動を変容した学習者に変換し,アウトプットとすることである。したがって,授