福島県教育センター所報ふくしま No.11(S48/1973.6) -019/025page

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られるというが,現代では協力していくことが先決で,「やってやれない仕事はない。」といっている。高学年ほど,男は外,女は内の仕事と割り切ることに抵抗を示し,男女の協力で自然に役割が決まることを望んでいる。反面,家庭のことを男カミすると恥ずかしいという意見も一部にでて親の考えが子に反映しためんも地域によりみられた。

[調査6] 生活観とすきな友だちは,どんな人ですか。
 生活観は,傾向を明確にさせるため,意識のはっきりした両極のものについてと,友だち関係の相関をとってみる。また,考察をすすめるうえでつぎのように類別する。
 1 たいへん楽しい・・・・・A類型群
 2 すこし楽しい
 3 つらいことが多い・・・・・B類型群
 4 なんとも感じない


    好きなタイプ

 

生活観

かっこよくきれいな人 やさしく親切な人 スポーツがうまくほがらかな人 遊びがうまくゆかいな人 勉強のできる頭のよい人 まじめでしょうじきの人
同姓

(男)

A類型群

2.0

6.0

4.0

2.0

6.0

2.0

2.0

4.0

B類型群

2.0

2.0

2.0

12.0

4.0

2.0

2.0

4.0

4.0

2.0

異性

(女)

A類型群

8.0

6.0

4.0

2.0

4.0

2.0

B類型群

6.0

2.0

6.0

16.0

2.0

2.0

2.0

2.0

2.0

2.0

2.0



異性

(男)

A類型群

2.0

2.0

2.0

14.0

6.0

2.0

4.0

6.0

6.0

2.0

B類型群

6.0

4.0

6.0

6.0

4.0

4.0

2.0

同姓

(女)

A類型群 2.0

18.6

16.0

4.0

6.0

2.0

B類型群

8.0

8.0

6.0

2.0

2.0

2.0


※調査人員は,小538名,中567名,高508名中より各50名ずつ無作為抽出する。
□の中の上段は小学校,中段・・・中学校,下段・・・高校。

 調査6よリ,同性に対する見方と異性に対する見方の特徴をとり上げてみると,A類型群の子どもは,小学校ではスポーツがうまく,ほがらかな人をあげている。このことは中学生についてもいえるが,男子はやさしく親切な人をA・B類型群があげている。女性の場合も,やさしく親切な人を共にとり上げていることがわかる。生活の余裕のある子は,概してスポーツがうまくほがらかな人であることが類推されるし,気分のいらいらする不安定の子ほど,やさしく親切な人をのぞむようになるのは当然のことであることが分かる。男女は常に異性からいこいと親切さを望み合い,それらが個々の人格向上に強く影響を与えあっているのではなかろうか。したがってこの点の指導が今後の問題となるであろう。


3. まとめ

調査内容は,男女交際のあり方と親子の関係,異性の魅カ,男らしさと女らしさ,生活観とすきな友の相関などをあげてみたが,学校生活の中での児童・生徒の理解にいくぶんなりとも参考にし,適切な指導の機会に役立ててほしいと考えている。
 周囲のものが,もっと明るい健康な態度で男女交際にっいての場を進んで与え,美しい印象と思い出を作ってやるべきであろう。
たとえば
 ・男女交際が,興味本位に理解されたり
 ・環境により刺激や影響をかなり強くうけたり
 ・心身の発達は,かなり個人差があるので,早熟な子と晩熟な子それぞれに対する配慮が欠けたり
 ・性差を感じない交遊から,まわりの人たちによって意識的に性差を感じる交際に作りあげられたりする。

 また生徒たちの意見では,日常生活の役割を自覚している反面,広く一般杜会に通用する男らしさ,女らしさに反発を感じ,「おてんばは,嫁のもらいてがないよ。」と育てられたことへの不満を語っている。要は,合理的な男女の役割にかなうように,従来の男尊女卑の人間観のもとで考えられていた男らしさ,女らしさをもう一ど考えなおしてみる必要がある。そのために男女の特性の発達と正しい男女観をもつ指導へ目をむけるべきだと思われた。

いちめん教師と児童・生徒,親と子の関係は
 ・ともに人格を尊重し大事にする生活
 ・話し合いにより,お互いに学びあう親子関係
 ・ユーモアを交えての対話のある生活
 ・生活のリズムを乱さない生活(学習のじゃまをしない)と秘密のない親子関係など

 まず,親や教師が,家庭と学校の実情を直視して子どものしつけや男女交際等を再検討する余地が残されよう。要は,男女の特徴が自然な形で,お互いの温かい心のふれあいから尊敬心と協調心を養い,人格を認めあうようにしたい。
 ただ自已の衝動が押えられずに,行動的になり実害のでるような男女関係におちいらたいこと。――意識と行動のズレがでやすいと語った高校生のことばや親が余計な思惑(しわく)を広げ思春期の気持ちをふみにじることがあると語ったのが印象に残る。したがって気軽に楽しい交際と互いの真意の交流を望みあう姿を適当な時期に適切な指導と助言をもって再認識させることが望ましい。


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