福島県教育センター所報ふくしま No.12(S48/1973.8) -016/025page

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 ○児童生徒に学習の過程における問題点を確認させ,解決への意欲を高めさせること。
 ○事象の変化に対して敏感に感じる学校反応の態度を養うこと。
 ○師弟ともに課題を追求し,子どもの学習に対するよい相談相手となることなど。

(3) 学習指導について

 児童生徒の個性や能カ,特性を伸ばすことは,学習へ個人を適合させるというよりは,学習を個人に適合させる配慮を忘れてはならない。子どもは,知能,発達段階,認知などに至るまで個人的な特性があり,独自の個性的な体制に支えられている。すなわち,学習指導においては,児童生徒自身の活動がより尊重される。ここに,下の資料を参考にのせてみたい。

全国教育所連盟資料
(全国教育所連盟資料)

 資料からみると教育の近代化という言葉から受ける感じとして,ひとりひとりを伸ばすことは,小中学校とも高率である。次いで小学校の内容の精選,中学校の学習形態のくふうである。教師が授業において最も注意をはらっている事項として, 1.児童生徒の活動を重視する。2.児董生徒に確実な知識の定着をはかる。 3.教師が教材を深く研究する。 4.教材の関連づけを配慮することなどをあげている。
 学習者の知識の定着をはかり,また児童生徒の活動を重視することの意味は,教育の本質が外からの押しつけでなく,内からの発展を援助することの必要を裏づけし,教材の関連づけも,子どもの思考体制を重視し個性の伸張にじゅう分配慮している事がうなづける。

(4) 児童生徒の主体的な学習態度の養成

 学習面における態度は,児童生徒が学習に興味をもち,学習の目標をは握し,これに対して積極的に立ち向かっていくことや,その学習のし方を身につけていく自主的な構えを言う。このような態度の形成や変容についての考慮点を次のように考えたい。

1.さまざまな学習経験から,正しい知識を求め自分の個性にあった態度としてまとめあげる。
2.豊かな生活経験をへながら,有効なものやそれ以外のものをふり分ける判別力をもたせる。
3.固定的な物事の考え方より脱し,弾力的な学習に対処できるような自主的な構えを身につける。
4.既有の知識・理解に基づき関連的,拡大的に物事を考えていくような習慣をつける。
5.偏見をさけ,正しい批判性を養いながら,より高次で価値的な態度化をはかる。
6.授業の一貫として,理解に伴う態度化をはかり,これを整理統合して全校的な態度の形成をはかる。

(5) 授業における観察指導

 観察は,事象をみて解釈し理解することであり,子どもを理解する有力な方法である。教師は授業の条件や多くの場面における観察を通して,観察眼を養うべきである。下図のような授業場面における教師と子どもの関係からも一つの観察はできると思われる。

授業の流れと観察場面

(6) 授業におけ個別指導

1.教師は,子どもの個性を理解するためにも計画的な対話の機会を取り入れることが必要である。
2.問いかける機会を多くして,より高次な発問と応答の交流をはかるようにすること。
3.子どもの学習上の悩み,疑問を教師がよく吸収し解決して,伸ばしてやること。
4.学習の中に,作業の時間をとり,個人の作業速度や巧拙などに対応した指導を行なうこと。
5.授業中小集団を構成して個人的発言の機会を与えたり,一斉,個別,小集団学習などを併用しなから,その中の子どものようすを観察し記録などを重ねていくことは,子どもの個性の伸張,能カ,特性.の開発や創造につながる大きな原動カとなると思うのである。

イラスト


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