福島県教育センター所報ふくしま No.12(S48/1973.8) -018/025page
小規模少人数学級校においては,教科の性格およびその内容によっては,集団環境構成面から本質的な授業の展開添困難なものがある。その障害を除くため,近接2学年を合併しての授業か考えられよう。しかしこのことは復式授業の解消に逆行するのではないかとの懸念もされるが復式授業の通年性に対して,2学年合併授業は適正集団による,ある教科の1部授業ということになる。
また,学習は個人に成立するという前提から教師のティーム・ワークにより自已調整の学習をさせるようにする。
具体的事項をあげると次のようである。
(1) 学年のわくをはずした集団の再編成による教授過程のあり方
(2) 教授過程における教師の役割分担とその活動のあり方
4.協カ組織活動
計画し,弾カ的な集団構成により実践し,そして評価するといった教育活動を学年,あるいは学年団を基盤として協カしながら行なうことである。
教材研究が基本的構想により,共通理解のもとに進められて,単元指導計画を作成することになるが,効果的・効率的な作成のため,骨組みとしての基調案を作成することになる。その作成はティーム・リーダーが行なうのであるが,時にはティーム・メンバーの合議によって作成されることもある。いずれにしても単元指導計画の作成に時間的な余裕(1週間内外)をもたせるようにしている。
計画,すなわち単元指導計画は,学級担任による教育の長所を残しながら,教師の特性を生かした役割分担により,集大成の教育効果を期待できるようにする。
その作成は,勤務時間内に行なわれなければならない。そのためには,各学級の週教科時数配当にさきだって, 学年・あるいは学年団教師の研修時間を一定時に勤務表に位置づけられなければならない。
教材構成にあたっての教材研究は,制約された時間内で,特に協カして行なうことからして,共通理解とその徹底をはからなければならない。
実験学校における1例をあげれば,学習目標を細分化して細目標にし,次に細目標の達成系列上から内容を段階的に整理し,その相互間の関連性を確かめ,各細目標ごとに評価項目を設定して対応するよう教材構成をしている。
教材構成と併行して,教師の役割分担,集団の形態を考えることになる。教師の役割分担とは,1単位時間,あるいは教授過程の段階ごとに主となる教師,専門的に援助する教師と立場を受けもつことである。その立場は固定したものと考えないようにし,ともに主体性を尊重するよう配慮している。
集団の形態については,大集団(2学級以上の合併)中集団(単位学級程度),小集団(1学級の1/2以上の分割)に再編成することにしている。教師の役割分担とのかかわりあいは,一般には,問題は握や「まとめ」の段階は,大集団による教師の協業か考えられるだろうし,理解や検証の段階では,個別化の配慮が必要なので,小集団による教師の分業が考えられよう。
以上の構想を図示すると次のようになる。
基調案は,細目標,教材の段階的配列,教師の役割分担,時間配当,集団の形態たどを示すことになる。この基調案により,各メンバーは,内容などの検討とともに必要な資料を整え,分担内容を具体化したものをもちよって,単元指導計画の作成に入ることになる。
5.活動の実際
次に協カ組織活動の1例をあげることにする。
高学年 体育科合併授業
授業者 渡辺綾子(Te) 尾形光男(Tf)
(1) 題材名 台上前転, 腕立て閉脚とび (2/3時)
(2) 本時のねらい
1.多種運動を組み合わせて実施することにより,調整力や柔軟性を養う。
2.両足で強く踏み切り,ひざを伸ばしてスピードのある台上前転ができるようにさせる。
3.助走を生かし,リズム的な閉脚とびができるようにさせる。
(3) 児童の実態
1.5年男10名・女5名,6年男10名・女7名の計32名の2学年合併である。
2.運動技能に個人差はあるか,学年的には問題がないようである。
3.体育の時間は活発であり,グループごとに協力して学習しようとする態度かみられるようになる。