福島県教育センター所報ふくしま No.12(S48/1973.8) -021/025page
研修講座に参加して
川俣町立川俣中学校分室 黒江 艶
情報化社会にともない教育の現代化がとりあげられ,教育を工学的見地から考えた学習指導法の重要性についてしばしば耳にはしていた。しかし,研修講座に参加するまでは,それらはダイナミックな教育機器と高度な学習理論から成立するものであって,わが校には期待できない縁遠い教育方法であると敬遠していた。このたび受講の機会にめぐまれ,教育工学の理論や手法を導入した学習指導法の研修を積むにしたがい,教育メディアの多様化に応ずる教育を効率的にすすめるためには,欠くことのできない身近かなものであることを痛感するようになった。教育工学室には,情報提示や処理が全自動でできる各種の教育機器やスタジオ設備などが有機的に設置されており,それらをフルに活用した講義を受けることができ,操作技術等も体得することができた。わが校には,アナライザーやシンクロファックス等はまだ設備されていたいが,現有の視聴覚機器を適正かつ多元的に活用し,教育工学の本質にせまる授業のシステム化の一端に着手し,一歩一歩前進していきたいと意欲を燃やしている。
小学校理科移動講座に参加して
耶麻郡西会津町立野沢小学校 三留 澄子
前任校で「思考力を育てるための指導過程の研究」というテーマで,自主研究をしてきたが,今回,喜多方会場の講座を受講して,児童の思考力を云々する前に,教師である私そのものがはたして「考える」ことをしてきたのだろうかと反省させられた。
講座の実験や観察をしながら講座の内容とともに,思ってもみない「考えていない自分」を発見したことが収穫でした。
私の授業は,教科書や参考書にでている実験を唯一のものとして,その実験を発見してくれるような発問で強引にひっぱっていた。児童がその実験方法をいうとさも発見したかのように,体裁をつくり自已満足に終わっていたことが反省させられた。ちょっと考えればおかしいことに気づくはずなのにと思うことがたびたびでした。
講座ではいろいろな実験のしかたや,考えさせ方のヒントになるものが多くあった。課題をもって生き生きとした学習が展開できるもとになるものをもらったのだから,すこしでもいい「考える」教師になって二学期をむかえたい。
情報教育研修講座 (フォートラン)
福島工業高等学校 鴫原 昭三
最後の夜,ある研修生は「 オレ は,生まれてこの方,こんなに本気になって勉強したのは初めてだ。これからも,恐らくないだろう」と,明るく語っていた。
この言葉と,初対面以来数日しか過ぎてない他人の前で,こんな事が言えるというムードが,今回の研修のあり方を如実に物語っているといってよいだろ。
全く未知な,コンピューターという怪物。しかし所員の先生方の,巧みな指導で,次第にその輪郭が,はっきりして来た。二日,三日と興味がつのり,朝は宿直室に電話して,鍵をあけてもらい,昼は食休みどころか,飯をかみかみせん孔室に飛びこむ。夜また然り。所員の方々の勤務時間など全く論外。
何度デバックしても,ポン,ポンと軽く,冷たく拒否された時の,あのやるせない気持。そして逐に,プリンターが快いリズムで結果を打ち出してくれた時の,あの感激。
研修をおえて,センターを去る 先生 方の鞄の中は,部厚く束ねられたカードや,プリント用紙と共に,明日からの抱負で,大きくふくれあがっていたようだった。
教育相談講座を終了して
安達郡岩代町小浜小学校 渡辺 英夫
教育相談という言葉は聞いていたが,具体的にはどうするのかよく知らなかった。ただ,子どもの持っている問題について保護者といっしょに悩み,話合うといった単純な考えしかもっていなかった。4日間の講座を受講して教育相談というのは,単に現象面だけで子どもの問題を平板的に処理するのではなく,適切な検査やテストの考察,指導(治療)といった一連のデーターによって問題の所在を究明しながら家庭環境などについて考えていくおおきな仕事であることを知り,その重要性も改めて認識した。
現在の学校の現状では,教育相談を組織立ててやっている学校は少ないと思う。今後はこれを推進したい。この受講者には,相談員としての認定を与えてほしいのでぜひこれを実現してほしい。宿泊については,部屋が清潔であり設備もよく楽しく泊まれた。食事なども文句がない。特に人格を認めていただき,宿舎に特別の制限もなく,自由時間を多くといっていただいたので広く各先生方と交流ができた。
3泊4日の講座ほ,本当に楽しく,しかも大変有効であった。今後も是非計画してほしい。