福島県教育センター所報ふくしま No.13(S48/1973.11) -004/026page

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が大事なことになる。そこで,探究学習では,1つの中心概念を形成するために,探究問題の設定から結論の吟味に至る一連の学習過程をたどることを原則としたのである。そして,その一連の学習過程の時間の幅は,小単元程度のものが適当と考えられる。

したがって,一時間単位で一中心概念を形成していくということは考えられないが,学年により,また単元により違いはあるにしても,だいたいは,数時間ないし十数時間を1単位として,1つの中心概念を形成していくことになる。

なお,ふつうは,単元の中に,いくつかの小単元が含まれている。この大単元と小単元の関連であるが,その単元全体として考えさせたい目標がまずあり,その目標を分析してみると,その単元全体で形成させたい中心概念が幾つか浮かび出てくるはずである。小単元の数はその浮かび出てきた中心概念の数によっておのずから決まることになる。したがって,単元全体の目標をよく分析し,そのうえで,各小単元で形成させたい中心概念の中味を考えたり,また,その形成させていく順序や,関連などを考えたりして,各小単元で形成させる中心概念を決めていくことになる。

そういうことからいうと,―小単元―中心概念の指導計画を立案するためには,実際には,まず,単元全体の目標を吟味し,その分析の中から各小単元で形成させたい中心概念を抽出していく手順を踏むことになるといわれている。

◎学習指導要領の内容との関連

最後に,中心概念の抽出と学習指導要領との関連について述べたいと思う。学習指導要領に示された内容は,どこまでも各学年で学習させたいねらいの方向を示したものである。したがって,実際の授業では,その内容がそのまま,単元の目標や,小単元のねらいになるのでなく,その学校の子どもの興味や関心に合わせ,また地域の実状を考えて目標や内容が決定されてくるのである。

この点からみれぼ,先に,中心概念の抽出の原則としてあげた「子ども自身に形成させる」という原則は何等矛盾しないし,むしろ,今回の学習指導要領の改訂では,能力の育成とか,思考力の育成というものを重視ているのであるから,この探究学習の考え方は,新しい学習指導要領の考え方に合致しているといわれる。

「―小単元―中心概念」という考え方は,学習指導領に特に打ち出されてはいないが,従来の学習が,とすると内容が多すぎ,ねらいがボヤけているという反省があり,内容を精選することが,今回の改訂のもう1つの特色となっていることからいえば,学習内容の精選の実を挙げるためにも,「―小単元―中心概念」という元構成が,もっとも現実的な対策になるといわれてる。

以上,大野連太郎氏を中心とする「社会科教育研究センター」で研究されている「社会科における探究学習についての理論の骨子を簡潔に紹介してまいりましたが,最後に,このような理論にもとづいた単元の展開例をあげて,この稿をしめくくりたいと思う。

(目標の構造化と単元構成)
  (中学校公民分野)
目標の構造化と単元構成



第4小単元 「いろいろな文化は生活にどう影響を与えるだろうか」
第4小単元


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