福島県教育センター所報ふくしま No.13(S48/1973.11) -018/026page
いように思われるが,領域面から,機能面から,統制作用の面からみることができよう。領域の面からその構成をみると,教授・学習組織,事務組織,運営組織とすることができよう。これらの各組織の機能化と,相互作用の統制をはかることが,継続的な活動を維持し,発展をはかることになろう。機能化を,各自が主体性をもっての協力活動に努力することであるとし,相互作用の統制は,各組織の構成基準を同一にし,集団の責任体制を強化することにより,おしすすめられると思われる。
2 協力組織による学校経営
教育活動の計画・実践・評価のサイクル的過程において,各組織系列での協力活動のあり方についてみることにする。
(1)教授・学習組織
教師のティーム・ワークによる役割分担と,児童・生徒の学習集団(学級)の取り扱いの機能的な作用が問題となる。一般的な教授・学習活動の中にどのような配慮をしたらよいかをあげると次のようになる。
区分
評 価 ・ 計 画
教育組織 一般 学級担任,組主任により,調整し,計画する。 協力 ティームにより検討,調整し,計画する。 教育内容 一般 教授・学習過程が単線型にならざるをえない。 協力 展開場面において,複線型にすることが可能である。 教育方法 一般 実際指導計画が1単位時間ごとの展開が容易である。 協力 実際指導計画は、単元(題材)ごとの展開にせざるを得ない。
区分
実 践
教 授
学 習
教育組織 一般 学級担任,教科担任の体制をとる。 既成集団(学級)に固定される。 協力 学年・学年団の協力体制をとる。 再編成により、大・中・小集団とする。 教育内容 一般 担任教師の独自性による。 集団一斉指導にならざるを得ない。 協力 ティーム教師により役割分担する。 集団化・個別化が可能である。 教育方法 一般 学級担任,教科担任による指導である。 既成集団による取り扱いである。 協力 合併授業・複数授業・複数による教科担任の指導が容易である。 弾力的な取り扱いである。
学級担任,教科担任方式の中に弾力的な運営として,協力組織による教授・学習方式を取り入れ,その改善をはかることが考えられよう。
(2) 事務組織
事務組織の内容は,「児童・生徒指導の直接的な教育活動を支え推進するための,補助的手段としての役割業務」とするならば,教授・学習組織の構成単位で包括的に責任を担当し,ティーム内で各構成員が役割分担をもつことが考えられよう。
役割業務(校務分掌)は,一般的には各人の特性を生かした個人を単位に分担しているが,協力体制としては,基準とする組織構成(ここでは教授・学習組織)を単位に業務をティームで担当することになり,各構成員は窓口として,その業務内容の一部の分担をするが,責任はティームで負うことになる。
(3) 運営組織
運営組織については,各学校段階としての性格,実情等により異なるだろうが,職員会義における提出議題の検討や諮問内容の審議グループ,各種委員会等の構成グループをどうするかということになろう。その構成に一貫性をもたせることが協力活動を容易にするばかりでなく,学校組織を単純化することになり効果的と思われる。そのグループ構成の基準も教授・学習組織,事務組織と同じくすることが考えられよう。
こうした組織機構をとることにより,学年,あるいは学年団ティームの会合をもてば,教授・学習活動はもちろんのこと,分担業務も運営議題も関連的に討議し,意志決定をみることができ,組織の簡素化の面からも,また集大成としての教育成果をはかる面からも期待されると思われる。