福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -007/030page

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けることは困難である。それで陸上運動の指導では,教師の示範や説明は,児童にその技術を早く理解させるために常に必要である。そしてそれらの技術を児童が理解した後,個々に合った合理的なフォームを練習によって身につけていくことをねらいとしなければならない。フォームのくふうや練習によって,どれだけ伸びたかということをひとりひとりが数字で客観的に知ることができ,縦の成長の評価ができる。この意味で走り高とびは工夫する学習のすぐれた題材のひとつといえる。

(2)中核技術

走り高とび教材は四つの技術を総合して,ひとつの技術を構成している。その要素を技術構造から考えてみると,空間の動作よりも助走を生かしての踏み切り方の部分が中心の位置をしめることになる。助走から最後の着地までの動作を並列的に学習するのでなく,中心の部分に焦点をおいて,その前後の密度をうすくして学習過程を工夫するというのが,効果的であると考えられる。

走り高とぴの基本要素と中核技術

走り高とびの基本要素と中核技術

ひとつひとつの技術を基本要素として,1年から6年まで助走,踏み切り,空間動作,着地の4つの方法で行ない,それを発達段階に合わせて行ない,中核技術は学習内容の中心として指導しなければならないものであり,低学年では全体的な働きとバランス,中学年では助走と踏み切り,高学年では踏み切りと空間動作の技術が中核技術と考えられる。

走り高とびの技術構造

走り高とぴの四つの技術のつながりと、くふうしつくりだすフォームとの関係

走り高とびの技術構造

(3)学習過程

「めあてをつかむ−ためす−なおす−身につける一高めたしかめる」という5段階での基本的すじ道を以下列記する。

1. めあてをつかむ

走り高とびのねらいは,より高くとびこすことにあることを児童に理解させ,自分の最高をとびこすことのできるフォームを練習によってくふうしながら身につけていく意欲をもたせることである。

2. ためす

この段階が追求的な態度をねらう学習として最もたいせつにされなければならない。それは,児童がいろいろのとび方をくふうし,すぐにためしてみる。またくふうしまたためすのくりかえしによって,今までよりも高くとびこすことができたり,高くとびこす可能性の強いものを児童はみつけたりする。

学 習 事 項 活動内容と教師の働き
○低い高さでのとびこし

○助走のスピード踏み切りの地点空間姿勢に課題を持ち、とび方についての話し合い
○助走のスピードは速く,10歩以上助走する。
○踏み切りは,足先で踏み切り横木より遠くはなれている。
○空間姿勢  
 ・ひざをまげての幅とび型  
 ・はさみとび
 ・ダイブロール,はさみとび  
○助走のスピードはゆっくりすることを教える。  
○踏み切り地点も横木より約40センチぐらいのところがよいことを教える。  
○黒板でとびこした児童の空間の軌跡を書かせむだだな力の多いことをわからせる。

なおす

ルールに違反しているとびこし方を修正したり,ためす段階での話し合いをもとに自由グループで技術上の課題をもちながらとびこし方を修正する段階である

学 習 事 項 学習活動と教師の働き
○ダイブロールをベリーロールになおす

○自由グループによるとびこし
○ダイブロールでつかんだ空間の感覚を生かしながら左足で踏み切り,右足を振り上げ足にして,肩から着地させる。
○踏み切り足が決まり,着地の方法も理解している。
○高くとびこすには,踏み切り,助走も問題だがフォームも自分に合ったものをくふうする。

4. 身につける

ダイブロールをべリーロールに修正した型を,さらに助走距離,角度,踏み切り地点などを検討しながら自分の技能としていく段階である。

学 習 事 項 学習活動と教師の働き
○細部の技術についての話し合い

 助 走  

 踏み切り  

 フォーム  
 自由練習  

○反省
○正面とび,べリーロールのフォームのよい児童のとびこし方を観点を決めてみせる。
○低い姿勢で,最後の3歩の歩幅を広くしている。
○足のうら全体を使うことによって上体をおこす。  
○腕の補助を用いる。
○フォームの迷っている児童を個別に教える。  
○安全な着地を練習させる。
○自分の最高の高さを自分のフォームで挑戦させ1回の試技もしんけんにさせる。

5. 高めたしかめる

よいフォームをみたり,VTRにフォームを再現させたりしながら細部の技能にまで気をつけていく。


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