福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -009/030page
方が前者よりも利用度が大きい。なぜならば,前者は二つの集団の傾向を比較する場合に,測定数が異なる場合はそのまま比較することはできないが,百分率なら比較することができるのである。第1表の資料にもとづいて百分率を求めたものが第2表の累加百分率表である。
前にも述べたように,累加百分率表の方が非常に利点が多いようである。測定数が異っても比較できるということは,現場の学習指導に際して,その傾向を知って事後の指導を効果的に行なうのに大変便利である。
<第2表> 累加百分率表 級 間 上限点 度数 累加度数 累加百分率 95−99 99.5
1
120
100.0
90−94 94.5
2
119
99.2
85−89 89.5
11
117
97.5
80−84 84.5
18
106
88.3
75−79 79.5
31
88
73.3
70−74 74.5
21
57
47.5
65−69 69.5
13
36
30.0
60−64 64.5
8
23
19.2
55−59 59.5
8
15
12.5
50−54 54.5
3
7
5.8
45−49 49.5
2
4
3.3
40−44 44.5
2
2
1.7
計 120
具体例をあげて説明してみることにする。
<例>
ある学級で算数のテストを実施したところ,つぎのような得点の分布となった。男子と女子の傾向はどのようになっているだろうか。
男 子
女 子
No. 得点 No. 得点 No. 得点 No. 得点 1
58
13
73
1
3
13
15
2
53
14
18
2
90
14
21
3
48
15
50
3
44
15
46
4
63
16
91
4
65
16
48
5
85
17
45
5
24
17
36
6
64
18
55
6
59
18
41
7
21
19
55
7
38
19
38
8
35
20
38
8
42
20
75
9
58
21
28
9
14
10
64
22
4
10
65
11
46
23
76
11
53
12
62
12
57
<統計的処理>
1. 性別による得点分布の累加百分率表を作る。
<第3表>
級問
男子
女子
度数 累加度数 累加百分率 度数 累加度数 累加百分率 90−99 1
23
100.0
1
20
100.0
80−89
1
22
95.6
70−79
2
21
91.3
1
19
95.0
60−69
4
19
82.6
2
18
90.0
50−59
6
15
65.2
3
16
80.0
40−49
3
9
39.1
5
13
65.0
30−39
2
6
26.1
3
8
40.0
20−29
2
4
17.4
2
5
25.0
10−19
1
2
8.7
2
3
15.0
0−9
1
1
4.3
1
1
5.0
N=23 N=20
累加百分率表にまとめると第3表のようになる。これを調べることによっても,このテストにおける男子と女子の分布の特質はかなり正しく知ることができる。
2. 得点分布の累加百分率曲線を措く。
この表(第3表)から第2図のように,分布曲線を描いてみると,いっそうはっきりとかつ具体的にその傾向を知ることができる。
<第2図> 男子と女子との得点分布の累加曲線
<結果の考察>
1. 第2図をみていえることは,男子の曲線が常に女子の曲線の右側にあることである。すなわち,女子に比べて男子の得点は常に高いといえる。その曲線のへだたりが得点の差であるから両端においてはさほどでもないが中ほどにおいてはその差は大きい。
2. 中間数のある位置をみると,男子の中間数は約53点であるのに,女子のそれは約43点である。そして,その差は第2図のABの線となって現われている。
3. 同じように,四分偏差においては,第1四分偏差(Q1 数字1は、小文字)の差異はCDであり,第3四分偏差(Q3 数字3は、小文字)の差異はEFである。 4. 男子の中間数のBを延長してみると,その点以下に女子の約70%が含まれている。いいかえれば,女子の