福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -010/030page
約30%の児童が男子の中間数よりも優れているにすぎない。また,女子の中間数より低い男子は約30%である。このようなことは,得点分布の累加曲線を描いて考察すればよく理解できるのである。
(3)バーセンタイル(百分率順位)
学級内の個人の成績の表し方として,学級編差値も便利であるが,この場合には,その成績得点の分布がなるべく正規分布に近いことが望ましい。ところが,いろいろな調査などにもよく見られることだが,全く正規分布であることが望まれないようなときがある。このようなときには,バーセンタイルを用いるとよい。もちろんこのようなときのみバーセンタイルを使用するのではない。バーセンタイルは教育や心理学でしばしば用いられる。
<バーセンタイル>
○ 測定数の多少にかかわらず,すべて100個とみて100中の第何番日に当たるものは何点であるかを定めたものである。
○ ただし,得点の小さい方から数えて100中の何番というのである。たとえば,45パーセンタイルといえば,測定値の小さい方から数えて100中45番目に当る値であって,それ以下の値のものが45%いることを示し,それ以上に,なお,測定値の大きいものが55%いることを示すものである。
1. パーセントタイルの値の定め方
バーセンタイルの値を定めるには,まず,第1表のような累加度数表をつくっておかなければならない。バーセンタイルを求めようとする測定値の属する区間以下の測定値の度数を知るためである。
i)あるバーセンタイル(Px)に相当する測定値の求め方。
ある(Px)に相当する測定値を求めるには,つぎの式を用いる。
ii)ある測定値(A)に相当するバーセンタイル(順位)の求め方
(A)に相当するバーセンタイル(順位)を求めるには(1)の式を変形して
以上の(1),(3)の式がわかっていれば,バーセンタイルについて簡単に算出できる。
2. 学級のなかで多数の児童のバーセンタイルを算出するとき。
多数の児童のバーセンタイルを算出するときには,あらかじめ10% ile(パーセンタイル)ごとの測定値を求めておくとよい。これ以外の測定値に相当するバーセンタイルは比例法で算出するか,グラフを利用して求めると便利である。
<例>
第3表の男子について,10% ileごとに測定値を求めるとつぎのようになる。
<第4表> 百分率順位測定値の算出法また,第2図はバーセンタイルグラフでもあるので,これからバーセンタイルを求めることもできる。たとえば,測定値75に対して,男子の場合は86% ileとなり,女子の場合は93% ileとなる。
以上三点について述べたが,測定の結果に統計的処理法を適用することによって,はじめて数値の意味が明らかになり評価もできるのである。