福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -013/030page

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調査 II

この調査は,昭和48年11月,福島県内の小・中・高・各5校,約700名の教職員を対象として実施した。調査の内容は多岐にわたっているが,考察に最少限必要と思われる項目二点を抜き出して分析を加えてみた。

1)通知表(通信箋)に行動の記録を記入する欄があるかどうか……については,小・中学校の100%が記載欄を設けており,高等学校においては35%の解答を得た。さらに,小・中学校にあっては毎学期の記入が完全に実施されているが,高等学校においては,毎学期記入と学年未記入の二様式が半々に認められた。しかも,同一学校内において二様式が共に現われるという不統一な結果がほとんど全ての高等学校に認められたことは特筆に価いする。その原因は,担任教師の自主的裁量が大きく働いているためか,各高等学校の評価方法の未検討が原因となっているのか,あるいはまた,高等学校教師の学力偏重主義のあらわれが足並みの不ぞろえを生んでいるのかさだかでない。

2)性格行動の記録の信頼度の調査結果は下表のとおりである。

行動記録の信頼度について

  高校教師 中学教師 小学教師
1. 科学的な手法をとり入れているので大変信頼が高いと自負できる。 0 0 0
2. できるだけ信頼性を高めるように努力しているので適切だと思える。 -

17.0%

-

26.7%

62.8%

3. まあまあ適切だろう。(可もなし不可もなし)

37.7%

-

63.6%

25.6%

4. やや信頼性に欠けることもあるかも知れないが現在の方法しかないのでしかたがない。 -

34.0%

-

6.7%

9.3%

5. 信頼性に乏しく,児童生徒に対してはなはだ遺憾に思うことが多い。

11.3%

-

3.0%

-

2.3%

この資料から読みとれることは,小→中→高と学年が進むにつれて,評価に信頼がおけないとする教師が増えている。その理由としては,1)小・中学校の教師の方が高校教師よりも子どもに接触観察を行なう機会に恵まれていること。 2)子どもの発達が未分化であるため評価の幅が小さく評価し易い。 3)高校教師は,生徒の人格・行動などの評価より学習評価に力点を置く傾向が強い…などが原因として考えられよう。さらに,中学校教師の64%が自分達の行動の記録の信頼度を「可もなく不可もなし」と判断しているのは,高校入試という問題が微妙に作用しているためではなかろうか。

適切な評価のありかた

上記 I・II の二つの調査からえた多くの示唆を基にして,今後の適切な評価のありかたを考察してみた。

1)それぞれの学校に最適な評価基準,評価方法手段(生徒の自己評価・他人評価なども含め)を研究・検討する研究委員会を作る。

2)研究委員会では,評価基準を,各学年各学級間の格差,生徒の発達段階などを考慮して原案を作成し,職員会で決定する。

3)委員会は,評価の方法についても具体的・実践的なやりかたを明示する。

4)委員会は一年限りのものとすべきでなく,少なくとも三年間は継続して設置し,前年の評価の方法手段・評価の基準などに不備があれば改正し,漸次適正な評価方法を探究する。

などが考えられるが,要はH.R.Tがただ一人で評価を行なうという方式は絶対に避けるように努力すべきであるという一言につきよう。

なお,昨年まで私が利用してきた自己行動評価,他人評価(いずれも高等学校生徒用)のサンプルを掲示し,諸先輩のご批判を仰ぐ予定であったが,紙数の都合で残念ながら掲載できなかった。(ご希望の学校がありましたら請求ください。テスト用紙のサンプルをお送りいたします。)

カウンセリング方式による生徒理解
カウンセリング方式による生徒理解

グループインタビュー方式による生徒理解
グループインタビュー方式による生徒理解


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