福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -017/030page

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本年度の研究・研修のあゆみ

    福島県教育センターは,教育に関する研究(教育思想,教育原理ならびに教育行財政・学校経営・管理,教育内容・教育方法,教育実践等)教育各分野に関する研修(教育研究の成果に基づく各教科・分野についての研修)教育に関する奉仕(教育相談の奉仕,教育資料の整備・提供と教育史の編さん)の諸事業を行なっている機関であり,これらの機能を遂行するための組識は,第1研修部(第2研修部担当以外の教科等),第2研修部(理科,家庭,技術・家庭),第3研修部(情報処理),研究・相談部(教育研究,教育相談,教育資料)で構成されている。

つまり,福島県教育センターは三つの性格と機能を持つものと考えられる。一つには教育研究の機関であり,二つには教職員研修の機関であり,三つには教育に関する奉仕活動の機関であることになろう。

ここに昭和48年度の各部の実施した事業内容とその課題等を掲載し,紹介するとともに,将来への一歩前進の資料としたい。

<研究・相談部>

教育の展望と現場の要請に応ずる教育研究をはじめ,児童・生徒の教育上の問題についての教育相談,図書・資料の整備や紹介・提供に当たる教育資料を担当している研究相談部における本年度の実施内容およびその課題は次のようである。

1. 教育研究の状況

教育組織の継続研究としての「学校経営改善に関する研究」,協力組織活動の積上げ研究としての「教授組織に関する研究」,生徒指導の基礎研究としての「児童・生徒の社会認識に関する研究」をはじめ,小学校との関連研究として,中学校「福島県診断標準学力検査問題」の研究,事例を中心とした「教育相談の基礎的研究」にっいて実践研究を行なった。

(1)学校経営改善に関する研究

学校経営の概念を明確にし,その組織体制や弾力的な作用について,本県の実情を明らかにし,児童・生徒ひとりひとりの伸長をめざした「機能的な学校経営のあり方」を究明し,今後の学校経営の改善資料とする。

 その内容は次のようである。

  [1]教育展望からの学校経営
  [2]実態からの学校経営の課題
  [3]学校組織とその機能
  [4]組織系列とその相互作用
  [5]経営過程における教育活動

この研究は,学校経営の実情を検討し,教育活動の動向から,改善の方向や視点をとらえ,機能的な体制とその作用を明らかにしようとする。その結果は紀要としてまとめ各学校に提供する予定である。

(2)教授組織に関する研究

学校組織体制の中心を教授・学習組織におき,教育内容,教育方法・技術のかかわりあいから,教授過程の構成とその役割分担を明らかにし,ひとりひとりの子どもの学習成立をより確かなものにする。その研究の課題をあげると次のようである。

  [1]協力組織体制による教授過程のあり方
  [2]教授過程における役割分担とその活動
  [3]小規模少人数学級校における協力体制のあり方
  [4]各組織間の相互関係とその活動

実験学校

  ア 福島市立吉井田小学校 校長 黒須惣助
  イ 安達町立下川崎小学校 校長 石川 博

 吉井田小学校においては,県下の一般的な規模の学校として,全学年による体育の合併授業,低学年の算数,中・高学年の理科についての複数授業をとおして,[1]・[2]の課題を中心として実証をすすめている。

下川崎小学校においては,小規模少人数学級校として体育・音楽・図工の1部を適正集団規模に再編成して,[3]・[4]を主とした実証をすすめている。その結果については,紀要としてまとめ各学校に提供する予定である。

(3)福島県診断標準学力検査問題の研究

中学校において,全県的な立場から学校および生徒の学力をとらえ,学習指導に役立てることを目的として,問題の作成をすすめている。特に配慮した事項をあげると次のようである。

  [1]目標を細分化にし,内容系列との関連をはかり,問題構成に普遍性をもたせるよう配慮した。

  [2]領域,さらには観点を設け,その標準化により,教科の学力を対比できるようにした。

  [3]内容の分析的構造の順次性から到達度や過程の陥没点をとらえられるようにした。

  [4]学力形成過程を尊重して,問題数を多くし,検査問題としての信頼性を高めるよう配慮した。

その作成は,1・2年を対象とした,5教科の国語・社会・数学・理科・英語と,3年の5教科の予備調査問題である。

(4)児童・生徒の社会認識に関する研究

児童・生徒は,それぞれの社会での共同生活において


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