福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -018/030page
さまざまな機会をとおして,それなりに社会認識をしている。その機会でどういう事象にふれ,それをどのように受けとめながら形成しつつあるか,「性意識の認識」を中心として究明することにした。おもな内容をあげると次のようである。
[1]性意識についての見方・考え方
[2]性認識についての機会や関心
[3]性認識の形成過程とその取り扱い調査は,質問紙法と面接法を併用し,その対象を次のようにした。
質問紙法
ア 小学校 4校 6年 200名
イ 中学校 4校 2年 200名
ウ 高等学校 8校 2年 200名面接法による調査は,小・中学校3校,各60名,高等学校4校80名について実施した。
その結果は紀要としてまとめ,各学校に提供する予定である。
(5)教育相談の基礎的研究
児童・生徒の教育上の問題について診断し,そして処置・治療するといった教育相談活動は,臨床心理学を中心として,その他の科学的理論や方法に基づくもので,ある程度の訓練を受けた専門性が必要になる。しかし各学校においては,必ずしもその条件が整えられているとは言えない。それで相談事例を基にして,診断・治療のあり方をまとめ,提供することにより,各学校での教育相談を援助し,その推進をはかることにした。内容としては,「知能や学業に関すること」,「性格や行動に関すること」,「進路や適性に関すること」,「身体や神経に関すること」,「しつけや家族関係に関すること」に大別されるが,本年度は「性格や行動に関すること」を中心にとりあげることにした。その結果は紀要としてまとめ,各学校に提供する予定である。
2. 教育相談の状況
小・中・高校の児童,生徒を対象として,学業・行動やしつけなどの教育上の問題について,来所・通信による相談に応じ,問題とされることの診断を行ない,処置について助言し,可能な範囲において直接治療にあたっている。また学級における教育相談の計画・運営などについても相談に応じている。相談の内容と件数については次のとおりである。
分 類
内 容
来談
通信
知能・学業に関するもの 学業不振
学習態度など90 5 性格・行動に関するもの 登校拒否
集団不適応など100 10 進路・適性に関するもの 進路の選択
適性など15 2 身体・神経に関するもの 精神医学的な問題
精神身体症状など150 10 しつけ,家族に関するもの 家族関係
しつけなど30 4 計
385 31 3. 教育資料の整備および普及の状況
教育図書については,本年度1,022冊の増加をはかって,17,000冊を数えるようになり,教育資料については,各教育機関や研究学校等の紀要・報告書など1,466冊の供与を得て,11,000冊の整備をみるようになった。
これらの配架については,古文書,教育一般図書,新刊図書,教育資料に大別し,活用を主体とした方式をとり,研究・研修の便をはかっている。
資料の提供・あつ旋については,先にあげた教育研究の成果を紀要にまとめて,資料として提供するとともに研究文献の積極的な紹介や新刊参考図書のあつ旋につとめた。
当センターにおける研究・研修の過程や教育展望など,情報提供としてのセンター所報については,年間5回の発行とし,教育活動の参考資料に供した。
4. 福島県教育史の刊行
福島県教育の歩みを史実にもとめて,その進展過程で本県教育の果たしてきた役割や特殊性を明らかにするとともに,教育実践・研究の努力を顕彰し,本県教育の進展をはかる目的で,本史5巻,資料集11集の刊行に着手し,本年度は第5年次になり,次のような刊行をする。
[1] 本史 第3巻
一現代編I一
終戦直後から昭和31年までをめあてに,教育制度の改革,学校教育の実情,社会教育,教職員,教育関係団体の活動などをその内容とする。[2] 本史 第4巻
一現代編II一
昭和32年以降,現在までを中心として,教育行財政,学校教育内容・方法の改善,学校教育の実情,総合社会教育,教職員,関係団体の活動などをその内容とする。この間古文書・県庁文書の調査・収集約1,000冊,官報・県報等の整備・集録約250冊をはじめとし,各方面よりの調査員の協力により,各郡を中心とした資料を収集した。
貴重写真・絵画や図面などは,現物または復写し,「福島県教育史史料目録カード」により整理し保管する。その数1700点におよんでいる。
これらの資料は,「写真による教育史」としても普及価値があるものと思われる。
なお本年度は,本史第5巻,「資料・統計編」の準備として郡年表を作成する。