福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -019/030page
<研 修 部>
学校経営(A)講座(101)
今年度から高等学校の教頭(5名)も対象として入れ小・中学校の教頭とともに総勢30名が,年間3期の断続で12日間の研修を実施した。研修生は,日ごろ学校経営についての悩みを持つ人たちだけに,さまざまな切実な課題を背負ってきている。そこで,研修内容としては,
・学校の教育目標の具現化・校内の運営組織の改善
・現職教育の充実・校内の人間関係の充実などについて,理論と実際の両面から検討を加える一方,それぞれの持つ課題の解明を一つの柱としてきた。
この研究の結果は「報告書」としてまとめるとともに最終日には発表会を開き,相互に成果を確かめ合った。しかし,それぞれの学校の持つ課題は極めて多様であり,一挙に解決することは困難であるから,今後も相互に連絡をとりながら継続して研究をすすめることが望まれる。
学校経営(B)講座(102)
小・中学校の教務主任や学年主任などの立場で,各校の中堅として学校経営に参画している26名を対象とするこの講座は,年間3期12日間である。この講座も,研修生が現場から持ち寄った切実な問題を解決するための「主題研究」を中心とし,相談・協議・演習などによってすすめてきた。その主な課題としては現職教育推進上の諸問題が一位を占め,ついで学年・学級経営,校内の人間関係などであった。さすが各校の研究の中心的存在の人たちであるだけに,研究内容も充実しており,成果としてまとめた「報告書」は,今後の学校経営の改善のために有効な資料となるものと思われる。
講義の内容としては,教職教養を中心としてきたが,教育研究のすすめ方については,研究学校などがたいへん多くなっている現在,より多くの人に身につけてほしいことの一つであると思われる。
地域指導者講座(103)
小・中学校の中堅教員を対象として教育研究法,教育方法等について専門的識見を高めることを目的として実施した。
本年度の研修生は,小学校14,中学校18の計32名で,研究部門別にみると,国語4,社会4,算数2,数学2,理科4,音楽2,図工1,美術1,体育1,保体1,家庭1,技術・家庭3,英語2,道徳2,特別活動2であった。
研修内容・方法は,学習指導,生徒指導,教育研究法などについての講義と演習,さらに日常の教育実践上の諸問題から主題を選び,それぞれ在職校において実践研究をする主題研究からなっている。なおこの主題研究の成果は,昭和48年度地域指導者講座研究報告書として県下小・中学校に配布される。
小学校教育工学講座(104)
この講座は,教育工学の理論と教育工学的な手法を導入した学習指導法について研修を深めることを目的として,次の内容について実施した。
○教育工学概論
○プログラム学習と個別学習機器
○OHPの活用法とTP作成
○VTRの活用法と録画教材作成
○シート式磁気録音機の特性と活用法
○アナライザーの特性と活用法
○授業システム設計
○フローチャート作成
○ティーチング・システムなお教育工学概論の講師として,東邦大学教授沼野一男先生をお招きした。
小学校国語講座(107)
この講座は,国語科教育についての研究を深め,指導力を高めることを目的として,次のような内容について実施した。
(1) 講義 各領域に共通したものとして,国語教育の問題と学習指導法をとりあげた。
(2) 協議 読書と作文の指導について,実践の中から問題を出し合って討議した。
(3) 演習 朗読,書写,教育機器について,前半は理論,後半は実技研修を行なった。
参加された80名の先生方は,毎日の授業の中で当面している問題を解決しようとする積極的な態度で,熱心に研修をすすめられた。次年度は,受講された先生方から出された反省を参考にして,内容の組み方や協議のすすめ方について検討し,より充実した講座にしていこうと考えている。
小学校社会講座(110)
7月31日から8月4日までと,2月12日から2月16日まで5日間の日程で,小学校の先生80名の方々が参加された。講座内容は,「社会科教育の諸問題」「社会科の基礎能力と態度」「地図の活用と作図」「歴史学習の進め方」「福島県の地域開発」「教育工学」「社会科における評価」「教育研究法」というように,小学校社会科担当者としての研修にとどめず,校内のよきリーダーとしての資質を高めることを考え,講座計画をたて実施した。
いずれも講師の懇切な指導と受講生の熱心な自主的研修により,期待通りの成果が得られたが,演習・協議の時間と場がもっとほしいという反省もあげられた。
次年度においては,これらの反省点をふまえ,教科の