福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -020/030page
専門的な内容を深められるようにするとともに,演習や協議などに刀を入れる予定である。
小学校算数講座(113)
算数,数学教育現代化の背景と性格を探りながら,現代化を支えている,集合,関数,確率等の基本的内容とそれらの教材内容の扱い方および指導の重点について,80名の先生方が熱心に研修を行なった。5日間という制約のもとに,すべての内容をもれなく研修することは不可能なことではあるが,参加された先生方の研修にとりくむ熱意に支えられ質的な深まりがみられたように思われる。先生方は数学教育の理論的な面での研修と同時にあすからの算数・数学教育の実践に直結する,教材の研究を要望していることから,新年度においては先生方の要望にそうようにつとめるとともに,学習の主体者である児童の立場に立った算数,数学の学習心理の内容や,数学の各領域の指導法などの研修内容を加味し,よりいっそう充実した研修がおこなわれるようにしていきたい。
小学校図画工作講座(119)
1 内容と成果
(1)目黒衛県教委指導主事による図工科指導の問題点と題する講義
(2)所員による木材を主材とした壁飾りの製作
(3)西女高菅野忠良講師および所員による石膏じか付けによる立像の製作
(4)所員による粘土を用いての工作いずれも講師の懇切な指導と受講生の熱心な自主的研修により期待通りの成果が得られた。
2 研修の反省
直接現場で明日から役立つものも教えてほしいとの希望と粘土作品を実際に焼いて見たかったとの意見が出された。研修日数等の関係で希望を入れてあげられないのが残念である。
小学校音楽講座(116)
5月,10月,1月に4日間ずつ,小学校教員90名に対し実施した。講座内容は,激動する情報化社会に対応するこれからの音楽教育のあり方と,情操教育を志向する音楽教育のあり方を究明し,そのための本質的音楽の教材精選のし方,特に「基礎」領域の考え方,および「基礎」を中心とした指導計画のたて方とその指導法を考察することと,それにともなう教師の技術の向上として,発声法・指揮法・たて笛による小アンサンブルを実施した。
発声法については,音声学からの発声構造の理解と腹式呼吸について行ない,指揮法については,合唱合奏の指揮法というより,音楽の本質を体で追究する基本的な内容とし,小アンサンブルについては,ソプラノ笛・アルト笛の奏法とグループ発表により,小アンサンブルの技術向上をはかった。
小学校体育講座(123)
研修は,小学校体育科の抱えている問題について,講義,協議を中心にとりあげ,6月と9月にそれぞれ30名の先生方とともに4日間行なった。講座内容の主なものは,「小学保健体育と保健管理」,「総則第三体育と学校経営」,「体力向上をはかる授業と環境の整備」,「学習指導法」,「教育機器の効果的な活用」,「体育の評価と活用」などそれぞれのテーマについて各先生から熱心な討議発表をいただいた。研究協議では,各学校で取り組んでいる「体力の向上」,「肥満児指導」について,現場での実践を通しての協議であり,今後の体育指導に参考になる有意義な協議内容であった。
受講者から述べられた反省を参考にして,次年度の講座には,新鮮さのある研修内容をもりこみ,先生方の期待にこたえたい。
小学校理科移動講座(201)
この講座は,すでに,5年めを迎えているが,講座の趣旨は,理科研修の機会の少なかった教員や女子教員を対象として一般教員の理科指導力の向上をはかるものである。(理科教科書の実験観察の教材研究を中心として)本年度は二本松,船引,須賀川,白河,金山,喜多方,南郷,湯本,原町などの9ケ所の会場で開設した。受講者は,総数で220名を数え,そのうち女子教員は50%を占めていた。いずれの会場でも,時間のたつのも忘れた熱心な研修ぶりで実験操作のコツの取得に励んでいた。なお,受講者の声でその成果はすでに所報に紹介されており,きわめて意義深いものであったと思う。
昭和49年度は,さらに,1会場を増設し,浜通り(3ケ所),中通り(4ケ所),会津(3ケ所)の10会場で開設する予定である。上記の本講座の趣旨にそくして実施されるので女子教員の積極的な参加を期待します。
小学校理科講座(202)
今年度の講座の特徴は,女子教員講座と男子教員講座を別の期日に行ない,しかも受講の対象を中堅教員とせず,理科担当教員として,受講者の人数を増したことである。これは,理科の授業を行なっている教員がなるべく多く受講できるようにすることが,研修の効果を一層発揮できるという考え方から配慮したことである。また,昨年度の反省をもとに,後期講座の全日程を,選択・自由研究として,1人2つのテーマを設定して深く研究するようにしたことも大きな特徴である。そして,研究にとり組む先生方の姿は真剣そのものであり,最終日の研究報告の内容も極めて充実しており,それぞれすばらしい効果を収めることができた。来年度も,今年度の長所を生かしながら,新しく野外巡検等の内容を加