福島県教育センター所報ふくしま No.15(S49/1974.3) -022/030page
中学校数学講座(114)
現代数学の背景と性格からみて,標準的な数学的構造に関する知識・技能の拡充,対象を数学的構造として捉える能力の育成,コンピューターに関する初歩的知識の三つの事項を研修の中核とし,講座内容も,数学教育の背景,数学の基礎的概念(確率・位相・統計),コンピューターの構造と機能の三つに焦点を絞り,あわせて教材の取り扱い方と指導の要点をとりあげ,短期間ではあったが80名の先生方の参加によって意欲的に研修が進められた。すべての先生方は,数学教育推進のための切実な問題を研修によって少しでも解明していきたいという真剣な態度に満ち,今後の研修講座の進め方,内容,方法等のおさえ方を多く示唆された。新年度は先生方の要望等をふまえ,現場の実践活動をより効果的に進められるような講座内容を企画したいと考えている。
中学校音楽講座(117)
6月5日〜6月9日,6月26日〜6月30日,2月5日〜2月9日,5日間ずつ中学校教員90名に対し実施した。講座内容は,本質的音楽の教材精選のし方,特に「基礎」の考え方,「基礎」を中心とした指導計画のたて方とその指導法を考察することと,特に日本の音楽の取り扱い方を研究し,それにともなう教師の技術の向上として,発声法,たて笛とギターによる小アンサンブル,琴の奏法を実施した。発声法については変声期の取り扱いと腹式呼吸について,小アンサンブルは特にギターについて基本からの奏法実習,日本の音楽については特に琴の実技を主とし,その実技を通して,日本の音楽の特質と構成要素を理解するとともに,日本の音楽の鑑賞指導へのアプローチとしてわが国および郷土のわらべうたと民謡にもおよんで実施した。
中学校美術講座(120)
1 内容と成果
(1)福島高校大谷英輔講師と所員による工芸とデザインの講義と実技
(2)所員による粘土教材の取扱について
(3)目黒衛県教委指導主事と所員ならびに中学校現場より6名の先生方を講師におねがいしての金属工芸と木材工芸の実技上記のとおり中学校で新指導要領でとりあげられた工芸部門の全領域について研修を行なった。内容が多すぎて時間的に無理が予想されたが,研修生が自主的に時間外まで実習をしたので予期以上の成果があがった。
2 研修の反省
県下約300名の美術担当教員を3ケ年間で一通り研修に参加して頂くことを目標として計画したため,施設,設備が不足で研修に多少支障があった。
中学校保健体育講座(124)
研修は,中学校保健体育科の抱えている問題について,体育科の理論および諸問題について研修を深め,その識見と指導力を高めることを目的とし,30人の先生方とともに4日間ずつ2回行なった。講座は,現場で悩んでいる諸問題を中心にした内容で有意義であった。<身体を動かす実技を少し入れてほしい。研究協議の時間を多くほしい> などの研修の充実,改善を望む反省があげられた。協議は体育指導上の諸問題について学校で悩んでいる具体的な問題を取り上げ,参加した方々の熱心で活発な研究協議により,密度の高い内容にすることができた。ご協力くださった諸先生に心からお礼を述べ,受講者から述べられた反省を参考にして,内容の充実,当面している身近な問題を取りあげるなど,検討をおこない,次年度の講座の充実をはかりたい。
中学校英語講座(126)
この講座も満3年を経過し,参加された先生の数は,350名を越える。本年度の講座内容は,前年度の先生方の反省やご意見をじゅうぶん参考にさせていただき,改善を加えて実施した。その主なものは,[1]従来行なわれていた外人講師による発音演習や会話演習に加えて,外国における教育論や教授法についての講義の時間を設けたこと。外人講師の迫力に富んだ講義はたいへん好評だったようである。A本年アナライザーを設置したのを機に,LL演習の中で,実際にこれを利用した研修を行なったこと。絵をとり入れた簡単な聞き取り形式のクイズであったが,これも先生方は真剣に取り組んでおられた。
来年度は先生方のご要望も強いので,教授演習の時間を設けたいと思っている。より充実した講座になるようにご協力を切望する。
中学校理科講座(203)
前期9月25日〜9月30日,後期12月4日〜12月8日,合計10日間,60名を対象に実施した。前期は20名ずつ3班に分かれ,物理,化学,生物,地学の各領域からそれぞれ2つのテーマについて所員による講義と実験を中心に,後期は研修生の選択による研究を中心に研修を進めた。選択研究の実施は2年目を迎えたが,先生方が自分で選択した領域のテーマに基づき,意欲的に研究にとり組み,きわめて質の高い研修を行なうことができた。受講の先生方の反省にも,「一つの教材についてじゅう分研究を深めることができた」,「現場では得がたい経験」,「予想以上の収穫」,「今後もぜひ続けてほしい」等の声が多く,大好評であった。テーマの設定,準備,運営等に苦労も多かったが,次年度は内容や方法等をさらに検討し,より充実した研修講座にして,先生方のご期待にこたえるよう努力したい。