福島県教育センター所報ふくしま No.16(S49/1974.6) -003/025page
を検討していくことが考えられなければならないとのべている。
(2)成立を促す諸条件について
これについては,最適学習準備状態,最適学習量,最適学習問題,最適指導系列,最適学習環境,最適指導技術などの究明が必要であることを指摘している。
これら諸条件の係わりを図式化したものとして次のような図をあげて授業創造の視点を示している。
(3)最適学習準備状態について
学習の効果は,子どもたちがその学習について,どんな準備状態にあるかによって大きな影響を受ける。学習の効果と学習準備状態の関係を下の図のように図式化してあげている。
図の中の点Rは,ちょうど効果が認められるようになった点で,教材(A)に関する指導(A')の学習準備点と定義している。Rより左側は準備不足で学習効果が認められず,Rよりずっと右側に位置づけられる子どもは準備過剰である。最も効率の高い準備の状態はRに位置づけられる子どもの状態で,これが最適学習準備状態といえる。そしてこの準備状態を見いだすには,準備問題の事前テストの結果と,目標問題に対する事後テストの結果の比較によってとらえることができるとのべている。
(4)学習(指導)過程の最適化について
目標に到達できた子どもたちは,どんな学習の過程を経ているかを検討し,これらの過程の中でだれもが最も容易に,しかも確実に目標に到達できる過程を追究していくことである。この過程は,次のようにして見いだしていくことができるとして,
既に学習を終わった子どもたちに対して,目標問題,過程問題,準備問題を入れたテストを実施する。過程問題には,幾通りかの指導過程に関する問題を入れておく。そして,目標(G)に進む過程のいくつかのルートの中で最も通りやすいものを子どもの反応にもとづいて分析して見出し,最適な学習過程を構成しようとするものであるとのべている。
(5)計量的処理概念の導入
子どもたちの学習の効率を最大化するという立場から,従来は,単に概念的に処理されていた指導案や授業に対する見方,考え方を数量的に置きかえて検討することが必要になる。
この試みとして,事前・事後テスト結果による検討の方法を示している。これによると,学習効果を,過程問題,目標問題について,各問題ごとに
(事後テストの正答率)−(事前テストの正答率)
とし,経験的に効果が認められたと判断する規準を,学習効果30%以上においている。また,事前・事後テストにおいて,それぞれのねらいに到達していると判断する規準を次のようにおさえている。
(事前テストの正答率)>=70%
(事後テストの正答率)>=70%
このような規準を定めることによって,分析した授業結果の評価と改善のための対策を講じていこうとするものであるとのべている。
]軸:事後テストの正答率(%)
Y軸:(事後テストの正答率)-(事前テストの正答率)=(効果)(%)
領域(a):そのまま残す分節
領域(b):改善を必要とする分節
領域(c):配当時間をふやしたり,学習量を増したりする必要のある分節
領域(d):省略したり,配当時間を短縮したりする必要のある分節領域(e):ほぼそのまま残してよいとみられる分節