福島県教育センター所報ふくしま No.16(S49/1974.6) -019/025page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

子の色が現れている。 D,E,F, は,およそ全面が胞子によってうめつくされている。

○この結果から,寒天培地の場合には,ニンジンやジャガイモの煮汁と砂糖5%程度を使った方が,よりよくカビの生育をうながすことがはっきりわかり,栄養分のある物とない物でのカビの生育の違いを調べるのに適した実験方法である。

またこのような寒天培地をもちいて1つのシャーレに1種類のカビを純粋に培養したものは,冷蔵庫に入れて長く保存することができ,次に述べるようなカビのプレパラートを作る場合に,純粋のカビをいつでも得られるので便利である。

図-3
    図-3

4.カピのプレパラートを作り,カピを細かく観察する。

カビのプレパラートを作る場合,菌糸や胞子を針などで取り,スライドガラスにのせると,胞子は飛散し,菌糸ももつれてしまって特徴はまったくつかみにくい。ましてや6年生の児童の能力ではさらに困難である。

それで,胞子の発芽の様子から,えののびた状態,胞子のつき方などを,そのまま観察するには,スライドガラス上でカビを生育させる方法がもっとも手がるである。

この場合たいせつなのは,寒天培地の質である。ある実験書には,5%砂糖液で2%寒天液をつくり……とあるが,この培地では,うまく胞子が発芽成長してくれないのが普通である。

それで培地としては,前記3の E あたりが適当のようである。この培地の場合には,胞子を培地につけてから適した環境におくと,20〜24時間後にはそのまま顕微鏡下で観察できるようになる。(プレパラートの作り方, 図−3 参照)

写真-4
    写真-4

写真-5
    写真-5

写真−4 は,えの先に丸く胞子が形成されたクロカビの様子であり, 写真−5 は,まだ少ししか胞子が形成されていないアオカビの状態である。いずれも顕微鏡で見たままを写真にしたものである。

理科学習指導における最適化の条件は,学校のおかれている自然環境,施設・設備,児童の実態等多々あるけれども,現在の設備の中で,児童が見てわかる実験をできるだけ多くするようにくふうすることも大切なことの1つである。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。