福島県教育センター所報ふくしま No.16(S49/1974.6) -020/025page
県内情報処理教育の現状
第3研修部 桜井 正一
1.はじめに
改訂「高等学校学習指導要領」が昭和48年度以降に入学する生徒から学年進行で実施されており,特に電子計算機を中心とする諸技術の目ざましい発展と,それに伴って進展する情報化社会に適応できる人間の育成が浮き彫りされ,情報処理教育を大きく推進する道が開かれた。すでに45年を初年度として,工業高校に情報技術科,商業高校には情報処理科が情報処理教育の推進学科として設置されている。昭和49年度現在では,情報処理科81校,情報技術科31校と112校が新設され,大きく期待がよせられ,今後さらに増設されることが予想される。
また,情報処理推進学科以外の職業科や普通科においても電子計算機を活用して,情報処理に関する一般的教養を習得出来るように,関係者は真剣に取り組んでおり,随所でその指導が行なわれている。文部省でも,従来の産振基準による方法とは別に商業,工業のすべての高校に電子計算機を導入する方針を打ち出し,49年度文教予算で超小型電子計算機一式1,500万を新規に30校分,1億2,000万円が組み込まれた。
さらに,1県1センターを目標として,指導教員の研修,教材の開発研究,生徒実習など地域の核として,重要な役割を果たす情報処理教育センターの建設も急ピッチに進み,49年度完成予定を含め23か所に設置されている。
このような全国的な進展を背景にして,本県ではどのように情報処理教育が推進されているであろうか。
1 情報処理推進学科における情報処理教育県内で初名乗りをあげたのは,福商であり,昭和47年度であった。翌年には郡商が,さらに49年度には若商に情報処理科,平工には情報技術科が新設されている。
まず,推進学科の目標をさぐり,授業展開をめぐってのいくつかの問題点をとらえてみよう。
1)学科目標
いずれの学校においても,学科の目標はそれぞれの特色を打ち出してはいるが,基本的には「高等学校学習指導要領」にそったものであり,情報化社会の進展に備えてそれに対応できる職業人の養成を目標としていることは望ましい傾向である。
2)施設・設備(若商・平工は機種未定につき割愛する)
施設については,福商,郡商とも既設産振施設の一部転用で3教室が平面に直結しない難点がある。しかし,福商では同一平面での授業展開が可能となっており,情報処理実習室にはデバック指導のためにも十分なスペースが確保されている。
設備の活用について最も肝要なことは,機械に異常が発生した場合,速かに解決体制に入れることであり,システム運用にあたって,メーカーのバックアップ体制が確立されていることである。また,定期巡回によるメンテナンスや,新資料の提供,研修講座の開設などの協力が生徒の学習効果へ反映していくこと大であり,その点両校ともに十分なサービス体制がとられているようである。そのかげには県当局のぼう大な保守契約料負担やその他の措置がなされていることを忘れてはならない。
3)学習指導とその内容
福商の昭和48年教育課程単位計画表によると,
[1]計実を電ー4単位の中で学習させている。
経理関係科目の履習との連続性を考慮して,計算実務を学習する機会を与えている。この点については,全国的にも,計算実務を学習させることの必要性を認めている情報処理科が出現している現状であり,適切な方法であると思う。なお,49年度からは計算実務を独立させて2単位履修させることになった。
[2]他学科においても情報処理教育について配慮されている。商業科(7クラス2類型)において,電子計算機一般3単位,経営数学2単位を選択履修できるよう教育課程を編成し,広く情報処理教育を推進する配慮がなされている。
郡商においても,商業科(4クラス)について電子計算機一般3単位を選択履修できるようにし,事務科(2クラス)も設備を利用出来るような措置がとられていることは,学校全体としての情報処理教育についての共通理解が得られ,協力体制がとられている現れであり喜ばしい。この点については,今年度情報処理科を新設した若商も例外ではない。
[3]言語選択の問題
福商の場合,電一ではFORTRANを,プロTではCOBOLを主としFORTRANを従とする複数言語の指導を行なっているが,この選択は固定的に考えていない。留意事項として,「言語選択に拘泥するあまり,本