福島県教育センター所報ふくしま No.16(S49/1974.6) -021/025page

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来の教育目標を見失ってはならない。」とし,つまり,「文法的なせんさくよりは,フローチャートを軸とするアルゴリズムの指導に力点をおきたい。」と鈴木悦郎指導主事(前福商情報処理科主任)が述べられており,情報処理教育担当教員として傾聴すべき意見である。

[4]複数指導体制の確立

電一は教員2名,実習助手1名,プロIは教員3名プラス助手1名,プロII・事務実践はそれぞれ教員3名が指導にあたっている。これは,

 ア 教室の配置と学習指導上必要最低限のものである。
 イ 相互研修と体験交流を豊かにすること。
 ウ 底辺を広げ共通理解を深めること。

などの視点から,当然の指導体制であり,これでも十分とは考えられない。昨年度よりプロIの担当者が1名削減されており,諸般の事情もあることと察せられるが,効果的な学習指導を展開するには増員について再検討の必要性があるのではないだろうか。

[5]「演習進度カード」の採用

これは問題演習の最初に記入させ,ついでフローチャートの作成からテストランまでの一連の過程をチェックし,最後に本人の演習反省数行と指導者の評価も記入できるようになっている。生徒にとっては生きた学習歴となり,指導者にとっては指導記録となるように各問題ごとに活用されている。

2 推進学科以外における情報処理教育

1)施設・設備

事務科の施設は,殆どが産振の転用により利用されている。

表1の示すとおり,郡商と喜商が一部学科転換し,産振補助対象校となり,2年後には工業高校へ産振の細目変更によりそれぞれ超小型電子計算機やNCが設置され,工業高校へも情報処理教育が推進される道が開かれることになった。

表1県内超小型電子計算機設置校一覧表
(含む数値制御工作機械)(49.5.22現在)

学校名

科別

機械導入年度

電子計算機数値制御工作機械別

福 工

福 工

郡 商

郡山西工

塙 工

会 工

喜 商

小高工

 

事務科

 

 

 

事務科

昭和48

48

46

48

48

48

46

48

超小型電子計算機

NC(旋 盤)

超小型電子計算機

NC(旋 盤)

超小型電子計算機

超小型電子計算機

超小型電子計算機

超小型電子計算機

2)学習指導をめぐって

推進学科の場合と異なり,超小型電子計算機設置当初は何かと問題が発生し,その解決に迫られることがあった。喜商の場合,FORTRANコンパイラのためのロードに時間がかかり,電子計算機がダウンした場合に1時間の授業の大半を費やし,また,せん孔タイプライタ2台では多くの手待ち時間が発生するという極めて効率の悪い授業展開となり,その打開策としてPTAの援助を得て5か年の整備計画をたて,高速読取機やOMRパンチ各1台を設置した。現在ではプロIや事務実践のアプリケーションの場として利用出来るところまでこぎつけている。県当局の助成や指導もさることながら担当者の熱意と全職員の協力により全校一丸となって情報処理教育に取り組んだ成果だと思う。そのことが,生徒の学習意欲を高め,学力が生徒のなかにみのり,充足感をもち,生徒自身がいきいきと学習する要因となっている。

3 教育センター第3研修部の事業について

 1)高等学校の生徒に対する情報処理教育に係る実習
 2)情報処理教育を担当する教員等に対する研修
 3)情報処理教育に関する調査研究および資料の収集,作成,利用提供
 4)情報処理教育関係機関,団体との連絡
 5)その他情報処理教育を推進するための必要な事業

以上が第3研修部(情報処理教育担当)の事業内容であるが,施設・設備の利用状況についてみると,来棟しての昭和48年度年間利用状況は教員延1,232名,生徒延2,214名,計延3,446名,郵送での利用は教員延55名,生徒延336名,計延391名であり,生徒の実習については宿舎の問題や来棟についてのバス運行などの問題を含みながらも,毎年熱心な実習が行なわれている。また,教員の研修講座のうちフォートランは工業・商業を問わないオープン方式を採用し,さらに電子計算機を設置していない県立学校における教員の情報処理教育を助長するために,通信制度を設けている。今後とも大いにセンターを利用されるよう切望している。

4 あとがき

東大の森口教授は,「情報処理教育の主眼は,本当の意味で人間らしい人間を育成することである。」と指摘されているが,機械にふりまわされないようにして,生徒の教育にあたる努力が必要であり,また各学校の実態に即した内外の諸条件を整備し,今後ますます向上発展をめざして地道な研究,努力を組織的・継続的に行なっていかなければならない。


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