福島県教育センター所報ふくしま No.17(S49/1974.9) -006/026page
1 手順
ア 語の発音を聞く。−音声の image を作る。
イ 語の意味を確認する。−語の概念と音声を関係づ ける。
ウ 発音をまねていう。−音声の image に従って発声器官を動かす。
エ 綴り字を見て発音を開く。−綴り字の image を作り,音声の image と連結させる。
オ 語を読む。−音声と綴り字の image を発声器官と連結させる。
カ 語を綴る。−音声と綴り字の imzge の上に書写器官を参加させ連結をはかる。
2 方法
・blank の補充(例)blackb…d
・単語の spelling
・連結された2語以上の spelling
3 指導上留意すべきこと
ア 活動は手順に従って流動的に行なわせる。
イ 視覚器官が活動の主体であるので,flash card やOHPなどの視覚教具を機能に応じて活用する。
(例)flash card ‥‥‥表面 library 裏面 図書館
OHP ‥‥‥penc ← masking
ウ 視覚・聴覚と運動感覚の連結を強化する。
エ 音声と綴り字の規則性に気づかせる。
(例)母音字+子音字+e→i−e[ai],a−e[ei]
oo→[u][u:]−igh(t)→[ai]など,
オ 誤りの原因を追求し頻度の高いのは全体指導する。
・聴覚的な誤りの例 first−fast,thing−sing
・視覚的な誤りの例 friend−freind,work−walk
・類推上の誤りの例 before−befor,until−untillなど,
カ 語いが増えた段階で語の整理をさせる。
(例)mind,find,kind all,call,tall,small
キ 弱音で発音される語や連音(liaison)は単語だけの活動では不充分であり,
2語以上の word group,文 単位での指導が望まれる。
ク 反復による強化の必要性は,次表の spelling についての把持率が示す通りである。
a.should b.health c.expression の正答率調査
その時間
の終 り4時間後 24時間後 10日後 2ヵ月後 a 62% 52 % 45% 27.5% 15 % b 62% 62.5% 65% 37.5% 12.5% c 67% 62.5% 57% 30.0% 5 % この事実から,基本語は意図的に oral practice の中でも絶えず確かめが行なわれるよう配慮しなければならない。
(例)T:Ilike French dolls,d-o-l-l,dolls,Do you know?
P:Yes.
T:That's right.Now,Let's say all together,d-o-l-l.
P:d-o-l-l,doll
T:Good.Then write the word with your finger.
※1音節5文字内外の単語ならば oral による spell- ing drill も抵抗はないと思う。
(3)dictation
dictation は自己の意志や行動を直接表現する活動ではないが,他の三技能をより強化する役割りをもつと同時に,話者の意志を正しく文字に表現する作業である。
従って適確な aural comprehension が前提となる。
1 活動の展開
次の step をふんで活動を質的に量的に高めてゆく。
ア 文字を聞いて書き取る。
イ 語,句を聞いて書き取る。
ウ 文を聞いて文中の語句の穴埋めをする。
エ 文を聞いて全体を書き取る。
オ paragraph を開いて書き取る。
2 指導上留意すべきこと
ア material は既習の内容で頻度の高いものを選ぶ。
イ 聞かせる英文は慣れるに従って natural speed に近づけ回数は 3 回以内とする。
ウ 書き取る英文は breath group ごとに提示する。
エ 可能な限り native speaker による録音教材を活用する。
オ 正しい aural comprehension が前提であり,文の構造や文中における弱音や連音が適確に
とらえられるように慣れさせておく必要がある。
次の例は単語の音だけに頼った dictation の結果である。
We'll make an orchard. → Will maker nor child.
カ 完全無欠な dictation の結果を要求することは,いたずらに生徒を委縮させ,また言語活動
の趣旨からもはずれるように思う。不備な点が若干あっても,内容を適切に受けとめ,文字と
して表現されていれば,個々の点については教師の軽い support にとどめ,It's good.で
答えてやりたい。次例を参考にすると,
提示英文:My mother likes fruits very much.
(situation)
She eats two apples every morning.
(dictation の文)
生徒A:She eats two apples evely morning.
生徒B:She eats to apples every morning.
この場合誤りの数の少ないB生徒より,むしろA生徒の response を評価してやりたい。