福島県教育センター所報ふくしま No.17(S49/1974.9) -009/026page
肉眼観察とあわせ,観察させることにより非常に興味と関心を高めるばかりでなく,学習の効果が期待できる。
(2)偏光顕微鏡・偏光拡大投影装置・偏光アタッチメントなどの利用について(紹介)
偏光顕微鏡は教師用として使用するために用意されているが,普通の生物顕微鏡と異なる点は,前述した様に偏光板が組みこまれている点が主で,その他関連部品より成りたつている(第3図参照)。なお偏光拡大投影装置は,光量を強くしてスクリーンに投影するようにしたものである。また偏光アタッチメントがあるが,これは幻灯機の先端にセットし,薄片を投影する様に製作されているが,いずれも集団の指導用に設計されているが,スクリーン上の像の光量が弱く,あまり期待できない。
なお,偏光顕微鏡を用いての専門的な知識は,他の参考書を見て研究されたい。ここではこの様な機器があるという紹介にとどめておきたい。
4.観察指導に効果的な機器の開発と利用について
偏光拡大鏡の利用が効果的なことは前述したとおりであるが,生徒に多くの観察の場を与えるという立場で次の2〜3の方法を紹介したい。
(1)生物顕微鏡に偏光板をとりつける方法
普通の生物顕微鏡は偏光拡大鏡に比較し,レンズが優れているため,見える像が極めて鮮明である。しかも,すべての学校でかなりの台数を保有していることから,岩石の観察に使用できれば有効である。そのためには,これに偏光板をとりつける必要があるので,第4図のような試みをしたところ,偏光拡大鏡以上の効果を発揮することがわかった。しかも,アダプター1台分250円で製作できるので是非使用されたい。
製作は第4図aのように検光器(偏光板A)を塩ビ管にとめ,接眼レンズにかぶせる。偏光器(備光板P)は塩ビ円板(第5図参照)に固定し,さらにその上に別の塩ビ円板を載せ,自由に回転できるようにする。そしてこの塩ビ板には角度(回転角……消光角を測定したりするため)を測るために分度器をはりつけ,観察用の薄片をはさみこむことによって,市販の偏光顕微鏡と同等の性能が得られる。もちろん組織の観察以外に鉱物の光学的な種々の特性を調べる(消光角,多色性,へき開角その他)ことも可能である。
第4図 生物顕微鏡に偏光板をとりつけ,岩石の組織,および光学的特性を観察する
つまり,偏光拡大鏡より性能の優れた偏光鎖微鏡を何台も準備することができるので授業の効果は倍加すると考えられる。