福島県教育センター所報ふくしま No.17(S49/1974.9) -020/026page
教育関係諸機関の情報紹介
東北,北海道地区教育センター協議会に出席して主として研究,研修事業の立場から
研究・相談部長 星 正
昭和49年5月16日,17日と岩手県教育センターにおいて,標記の協議会が開催された。会議は,教育センターに係る管理運営協議会と研究研修事業協議会にわかれて進められた。今回は,研究研修事業の面からその状況をのべることにする。
1.研究関係について
教育センターの研究は,時代的課題もあり,専門的な面もあり,学者と実践家の中間的存在から研究のための手だてを果たす役目もあって一様ではない。しかし,研究活動は,研修を方向づける基盤であるとともに,研究は学校現場との強い結び合いが必要である。
このような考えから現場に対する研究のガイド的役目を果たすものとして教育資料の研究紹介の目録の必要性も話し合ったが,本県では,その基礎資料は出来ている。
2.研修園係について
研修の内容およびその方法については,各県とも従来の方法に改善を加えつつ実施をはかっている。特に受講生に対する事後(継続)指導について話合った。研修は短期のものと長期のものに区別できるが,その後の研究に対する助言指導も大きな問題である。本県においては,年度ごとに各教育事務所に出向き,時には,学校などにお伺いして研究研修のための相談や要望を承っているところである。
また,県によっては,次期あるいは来年度の予定者などに対するオリエンテーションなどを考えている所もある。
3.研究と研修の関係について
行政各課の行う研修の内容と教育センターの行うその内容には区別がある。すなわち,職務研修としての必要な内容,またこれに係る伝達的なものと,教師の現職として必要な専門性を高める指導や研修とは,質的に違うものである。
教育センターによっては,研修部と研究部が一本の所や分けている所とあるが,県によっては,研究に3分の2,研修に3分の1などと仕事の配分も余儀なくされているという。また,岩手などは,所員の研究発表会などを開催していると開く。東北ブロックとしての共同研究については時期なおはやく,類似の課題については,相互協力の体勢の必要など話合って会を閉じた。
全教連鬼怒川大会から
研究・相談部 今 出 昭 三
全国の教育センターで組織している全国教育研究所連盟(略称「全教連」)があって,共同研究・研究協議・発表大会などの研究活動や図書の出版などの事業をおこなっている。去る6月6・7日の両日栃木県で49年度総会・発表大会が開催された。以下全教連の研究課題を主にその概略をお知らせする。
1.全数連の研究課題(49年度から3か年継続)
<教科における学習能力の発達と授業に関する研究>
(主旨)学習者個々が内在的にもっている学習能力を開発し,教育効果を高める必要がある。学習能力と授業形態との関連でそれがどのように発達的に伸びているか,その実態は握と問題点を明らかにする。
「教科における」ということは各教科特有の学習能力の発達を問題にするよりは,教科をこえた基本的な能力,つまりスキル的なものよりは,論理的思考・探究力という基本的なものの発達や指導のあり方を究明することにねらいがおかれよう。
<学校経営の最適化に関する研究>
(主旨)教育の効率を高めるために,学校経営における人的,物的,運営等の諸条件を分析し,それらのよりよい関連や構成のしかたなど,組織,運営を総合した最適のモデルについて研究する。
「学校経営の最適化」というのは,理想的な経営という意味ではなく,与えられた学校条件の中で,教育効果をあげるために,どのような新たな条件を加えたり,運営のしかたを改めたりすることがよりベターであるかを究明することをねらいとする。
2.研究発表(2日間・部会別・口頭発表)
課題部会「子どもの発達に応ずる教育」(発表数10)
第1部会「学校経営・教育評価」(発表数9)
第2部会「学習指導」(発表数11)
第3部会「子ども理解と教育相談」(発表数11)
発表の多くは各教育センターの紀要にのせてあるので内容は省略したい。(紀要は当センターに備えてある)
☆ 全教連発行の新刊図書(紹介)
・子どもの発達の特徴に応ずる数育(年報)東洋館
・学級担任による教育相談の展開 〃
・学習指導のシステム化 〃