福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -007/025page

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2〜3枚の積層にすれば小学校の高学年や中学校の女生徒でも製作できると、思う。このような方法をとれば、塊材を用いて製作する外部抵抗は排除され、デザイン、機能に重点をおく内部抵抗を強調する教材化がなされるものと思う。幅広の板材を用いて本立てなどを作らせることに執着していては、生徒の旺盛な創作力を伸ばすことはできない。下の写真は生徒の参考作品で6mm厚のベニヤを2枚〜4枚積層したものである。

ベニヤ板の積層による容器

(2) 金属板の教材化について
金属特有の展性、延性を造形的に用いるアルミニウムの教材化が最近盛んになってきている。次の写真はアルミ板を彫刻的に教材化したもので、彫刻としての面白さと美しさは感じられるが、彫塑の教材としてアルミ板をこのような発想6用いることには疑問がある。彫塑は塑性のある材料を付けたり、削ったりしながら美の追求をなさせる方が素直でなかろうか。

金属板の教材

アルミ板の特性を工芸に活用することによりペン皿などの凹みも手軽に作られ木材とは異なった美しさがだせる。

アルミ板の工芸(その2)

一つ一つのつちあとの美しさは本当に金属でなければ表現できない造形美である。写真はアルミ板による工芸作品の参考例である。

アルミ板の工芸(その2)

面材特有の軽快でスマートなデザインの追求には、下の写真のような(花器)ものも考えられる。これは薄い鉄板を用いたもので、直線の美も、曲線、曲面の美も自由に創造できる。接合はアルミニウムのリベット止めとし、水を入れる容器にはビンや空罐を利用する。

アルミ板の工芸(その3)

6. 結び

工作・工芸での製作は大きく分けると次のようになる。

(1) 切断 (長さ幅を変化させる)
(2) 切削 (形状厚さを変化させる。穴や孔をあける ことも含まれる)
(3) 接合 (部分品を組み立てる。木材工芸でいえば、 面と面、小端と小端、小口と面、小端と面 小口と小口等の接着が考えられる)
(4) 仕上 (研磨、加飾、目止、着色、塗装など)

この四つの領域に亘って材料に対する加工が施工され作品化されるものである。素材の選択の際は必ず視点を変えて再吟味し、教材化にあたっては、造形表現に適した用具と技法を研究し、教師があらかじめ教えることと、生徒自身に思考、創造させることとを明確にとらえ、無理と無駄のない計画をたてて、指導にあたるべきであろう。


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