福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -010/025page
以上の受け身の内容は、初めはできるだけ低い位置から行い、上達の程度に応じて高さを加減することが必要である。
■ 対人での受け身の練習(4の段階)
■ 対人的技能と受け身を組み合わせた練習(5の段階)投げるということの要領と、受け身をとることとを対人的に行わせる。この場合、上達の程度に応じて、低い姿勢から高い位置へと段階をふまえなくてはいけない。
練習では、わざのかけ方、受けのとり方を加えるとともに、投げと引きとの使い方と支持足の重心のかけ方などを指導し、安全性を高めるようにしなくてはならない。これによって、投げの基礎を身につけることと、受け身の練習とを同時に行うことができる。4. 簡易な試合の例
初歩的技能を学習した生徒を対象に実施する簡易な試合方法。
2、3のわざを学習した段階でも、指導のねらいによっては簡易な試合を実施することも必要なことである。この場合は、体力、技能の程度に応じ無理なわざが行われないよう規制すべきである。一般的には、技能を習得して、自由練習を行って、ある程度得意わざが体得できた段階において、練習試合や簡易な試合が計画され実施されるのが普通である。(1) グループ別(技能別、体重別)
(2) 時期
○ 初歩的段階
○ 対人的技能の上達をねらう段階
○ 技能の応用、変化のできる段階
(3) 投げわざだけの試合
○ わざの限定
ひざ車、足払い、ささえつり込み足、大腰
○ 試合の方法は自然本体から組み合った姿勢で、はじめる。
○ わざによっては相手の後ろ腰を含む上半身の後、側部が昼についた場合は「一本」とし、手、肘、膝をついたりすれば「わざあり」とする。(4) 固めわざだけの試合
○ けさ固め、上四方固めと限定
○ 試合は、長座姿勢の背中合せとなった競技者が「はじめ」の宣告で右まわりから組み合う。
○ 膝をついた姿勢より高くならない。高くなれば反則とし、3度繰り返すと「わざあり」とする。
○ 「おさえこみ」と宣告されてから15秒経過すれば「1本」とし、10秒以上経過すれば「わざあり」とする。
○ 投げわざ、固めわざともに、はやく2本をとった方を勝ちとする。
(5) 禁止事項の厳守
○ 特に身体に危害をおよぼす動作、頸椎、脊椎に故障をおよぼす動作等を禁止する。
○ 施設についても、畳が移動しないように固定する。
○ 窓下まで畳を敷いている道場では、安全のための区域を設ける。
○ 他の運動と同時実施の場合には障害物がはいり込まないように注意する。
試合における相手の選定、実施回数、時間などをどうするかは、それぞれの学習場面で個人の能力に応じて適切に行い、無理なねらいを設定しないことが望まれる。おわりに
中学校における格技(柔道)指導の中で、初歩的段階一での効果的な技能指導のあり方について述べてきたが、その要点をまとめてみると次のようになる。
○ 心身の発達に応じた段階的な技能指導を行う。
○ 基本技能を対人技能に活用する。
○ 準備運動、補助運動を学習過程に位置づける。
○ 常に生徒個人の学習進度を確かめ、事故防止のための方策を計画の中におさえる。
なお、応用技能については稿を改めて述べたい。