福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -011/025page

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ICを用いたメーター用前置増幅器の製作

第2研修部 柴田 宣教

高校物理の指導に於て微弱電流や電圧を測定したい場合がしばしばある。昨年、理振法の改定で電子電圧計が入ったが4万円ぐらいする高価なものである。ここ2、3年の間エレクトロニクスではICが急速に進歩し、各種用途のそれが発売されるようになった。なかでも演算用IC(オペアンプ)が安価に出まわるようになった。オペアンプは直流の差動増幅器であるので、容易に計器用のアンプに作ることができる。
自分でトランジスターを組合わせて増幅器を作ると、温度補正や安定を保たせるのに苦労するものであるが、ICの場合は10数個のトランジスターが一つにまとめられたものであり安定していることは、おどろく程である。
今回は高感度電流計(0.1μAフールスケール)を主とし、それに10mVまでの電圧計に切換えられるように設計し試作してみた。所期以上の能力を発揮することができたので、ここに発表する。反照検流計よさらば。教材用品も近代化していきたいものである。

図1 TA7502M 回路図
TA7502M 回路図

1. 演算用IC(オペアンプ)とは

これは電子計算機用の高級増幅器として開発されたものであり図1のように10数個のトランジスタや抵抗の組合わされたものであり、1個の大きさは従来のトランジスターの2〜3倍の大きさで、ピンが8〜12本出ている。
オペアンプには図2のように反転入力端子(I I )と非反転入力端子(I N )があり、これが差動入力端子となる。出力は出力端子とアースの問から取り出せる。
この基本回路の出力に100μA又は1mAの電流計をつなぐようにし、零点調整、感度調整、入力切換を取りつけたものが、ここに紹介する試作品である。なおここで用いたIc(TA7502M)はオペアンプとしては安価なもので500円〜1000円ぐらいである。

図2 オペアンプの基本形
オペアンプの基本形
V 0 =K(V 1 〜V N ) K が増幅度となる。

なお、オペアンプを用いた直流増幅回路としては図3の非反転増幅回路が基本として用いられる。

図3 基本非反転増幅回路
基本非反転増幅回路

2. 回路の説明

S 1 〜S 4 の切換スイッチは感度切換であり、その場合の入力と出力との関係は表1のようになる。VR 1 は零点調整、VR 2 は増幅率を多少かえて、メーターの目盛と、入力電流との数値を合わせるために使う。このVR 2 は半固定ボリュームを使用する。


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