福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -012/025page

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図4 メーター用前置増幅器回路図
メーター用前置増幅器回路図
丸1,5,8の端子につけたコンデンサーや抵抗は発振防止である。

<表1>
入力 出力
μA mV μA
S 1 0.1 10 100
S 2 1 100 100
S 3 10 1000 100
S 4 100 10V 100

3. 製作と調整

ICのピンは図5のように、あらかじめプリント基板に取りつけておく。
図6の実態配線図に示したように、シャーシに部品を取りつけて配線する。
出力に1mA計又は(100μA計)をつなぎ、スイッチを0Nする。VR1を調節して零点を合わせる。切換スイッチをS1(100μA計の場合はS2)にし、乾電池(1.5V)に1.5MΩを直列に入れ、入力端子につなぐ。メーターが、0.75mA(100μA計の場合は、75μA)になるようにVR2(半固定ボリューム)を調節して固定する。
使用にあたっては入力側につないだ線のインピーダンスによって零点のずれがあるので、そのつどVR1により調整して使用する。

4. 使用例

(1) 一本の導線を入力につなぎ、その線のそばを磁石を動かすだけで、針を振らせることができる。
(2) 熱電対を入力につなぎ、(保護管ははずす)先端を指先で押えただけで、メーターを半ば以上振らせることができる。

図5 IC外形と基板 ピン配置(裏から)
IC外形と基板 ピン配置(裏から)

図6 実態配線図
実態配線図

(3) 光電管を使ったプランクの定数測定実験において、光電流が零となる点をさがす際の検流計として最適である。
(4) フランクヘルツの実験において、プレート電流の変化を読みとることができる。
(5) 電磁誘導の基本実験として、一様な磁界の中をしずかに導線をうごかし、それに生ずる電流を読み、V=k(dN/dt)の関係をグラフ化することができる。
(6) 電圧計にした場合でも、入力抵抗が100K9であるから、通常の電圧計に比ベインピーダンスが高く、電圧降下の影響の少ない実験ができる。トーシャファックス裏紙を利用した等電位線の測定実験において、正負2点の中心を通る等電位線が直線にならない問題などは容易に解決できる。

5. あとがき

オペアンプにはこの他にもいろいろあり、広範囲に利用できそうである。入力インピーダンスの高いμPC156などを用いれば入力インピーダンス10MΩ以上の高感度の電圧計が作れるようである。
トランジスターを用いた製作ではいろいろなトラブルがつきものであるが、ICを用いた製作は安定で一発で成功するようである。ぜひ試みられるようおすすめする。

参考文献: 雑誌『電子展望』(1972 − 1〜3月号)
第44回理科教育センター研究協議会研究発表集録

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