福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -018/025page
楽譜11の和声をリズムパターンに応用した例をあげてみる。 − 楽譜12(前ぺージ掲載)
(イ) 低音について
メロディーの動きに対して低音(いちばん低い音)はどうあればよいか。これはメロディーと低音との空問に量的な変化を与えて効果をねらうためである。 − (楽譜7、12の→印参照)一般に次のような動き方がとられる。(注)導音(長調の場合は(シ)、短調の場合は(#ソ)がメロディーにある場合、低音にも導音を使用することは一応禁じられているので、(シ)に対しては(ソ)か(レ)、(#ソ)に対しては(ミ)か(シ)(根音か第5音)を使った方が無難である。
3. 伴奏づけの一般的留意点
厳密にいえば、どんな伴奏でも和声法や対位法的な手法を基盤にして作るわけであるが・手近かな伴奏づけの指針として、バイエル、ツエルニー、コンコーネ、ソナチネ等の楽譜分析を勧めたい。
要するに、子どもの作品がより音楽的に表現されるための伴奏であるから、より歌い易く、より演奏し易くならなければいけない。そのためには、
(1) なるべく、はっきりしたリズムを持つこと。
(2) 旋律よりも優位に立たず、旋律を補助する役目を持つこと。
(3) 単旋律では表現しつくせない余情を表すこと。などに留意する必要がある。4. 前奏について
前奏は、 1.歌い出しを容易にし、 2.聞く人にあらかじめ歌のふんい気を伝える、ためにつけるものである。
次に、簡単な方法をあげる。
楽譜 13
(1) メロディーの一部分をとり出して前奏とする。この場合は、最後の4小節ぐらいを初めにもってくる。
(2) 歌全体の気分を表すようなリズムによって作る。この場合は、直接歌のふしとは関係ないものが多いが、できるだけ歌の中の主リズムを引用した方がよい。 − 楽譜 13
(3) 歌い出しの数小節をそのまま前奏とする。よく行われる方法であるが、音楽的にはあまり好ましくない。
5. まとめ
前奏をつけたピアノ伴奏例。− 楽譜 14
6. おわりに
多忙な教育活動の中で、先生方ができるだけ手軽に、誰もが手がけられるという点を考慮してのべたために内容が平易になりすぎ、紙面のつごうもあって断片的な楽譜の掲載に終わってしまったが、補足については各先生方の試みを期待する。