福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -019/025page

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実験学校の研究の歩み

教授組織に関する研究

福島県立吉井田小学校 黒須 惣助

福島県教育センター研究・相談部長 星 正

1. 学校のすがた

国鉄福島駅よりバス土湯線で15分、秀嶺吾妻の山なみを西に仰ぐところ、モダンな鉄筋コンクリート三階建の校舎、これが福島市立吉井田小学校である。普通学級15、特殊学級1、児童数580名、職員22名で地域は美しい田園の中に急速に都市化が進んでいる現状である。・吉井田小学校教育の目標心身ともに健康で、積極的にとりくむ、明るくたくましい子どもを育てることをねらいとし、つぎのような具体的な目標を掲げている。

○ ものごとをよく考えておこなう子
○ すなおに明るいじょうぶな子
○ きまりをまもり進んで学習する子
○ 美しい心をもち礼儀の正しい子

・保護者の職業
農業
商業
工業
運輸業
公務員
公務員
公務員
会社員
その他
人数
59
20
22
5
21
96
26
165
21
435
%
13.3
4.6
5.1
1.1
4.8
22.7
6.0
38.1
4.8
 

創立百周年を迎えた吉井田小学校新校舎
創立百周年を迎えた吉井田小学校新校舎

2. 研究態勢

昭和45年度より、「小学校における教授組織の研究」にとりくみ児童びとりひとりの能力の開発を目ざして経営の改善をはかった。
(1) 教師の特性を生かしながら相互協力の態勢化をはかった。
職員の教職経験年数、性別、専攻教科、得意教科協力教授に対する意識の程度など
(2) 学校の実態について認識を深める。
学級数と施設・設備特別教室の整備状況
(3) 児童の学習意欲、興味関心などを検討して、協力教授のシステムが円滑に児童に受け入れられるように配慮した。
(4) 合併授業に必要なもの、即ち児童坐席表、児童氏名章、学習予告板、日課表板、学級会組織表など自主的な学習準備と行動の予定を習慣化するに必要なものを整備した。

3. 研究経過

(1) 第1年次
低中学年は週3時間の体育の1時間を合併授業(2学級2教師)とし、他学級は、音楽、理科、図工などを専科的な授業で実施した。高学年は、体育、理科について、全部合併の複数授業と従来の1学級1教師の2つの方法をとり比較対比できる配慮をした。

(2) 第2年次
高学年の体育では、3時間中2時間を合併授業(3学級合併3教師または2学級3教師の授業)、他の1時間は単独で実施したが、教授組織による教材の系統性が実践を通じて要求された。

(3) 第3年次以降
教師の協力態勢による効率的な授業を展開するため、教師集団による教授学習のあり方を検討した。

4. 指導計画改善のよりどころ

教授組織の方法は、学習効果をあげることを第1のねらいと考えてつぎのような点に配慮した。
(1) 教師の共通理解をはかるために事前協議をする。
(2) カリキュラムの自校化をはかる。
(3) 学年団による教材の具体的研究を進める。
(4) 児童学習集団の編成、授業形態、題材の組み合わせ。
(5) 教師の役割分担の検討をする。
(6) 施設、設備、用具、授業場所による協議。
(7) 学年団における実践記録の累積につとめる。

5. 授業検証(6年体育の例)

体育授業のひとこま(吉井田小)
体育授業のひとこま(吉井田小)

授業において、2学級を合併し2教師によって児童の能力差に応じた小集団を編成し検討する。能力差に応じた指導を徹底させるため、教授過程と集団構成の関係から教師の役割分担のあり方を考える。
1. 題材体操(支持)器械運動(さか上がり − 腕立て前転 − 振りとび)
腕立て前転と振りとびの運動は、6年の新教材であり、さか上がりについては5年で定着をみる段階であるが実際には問題がある。器械運動は、技の巧拙は明瞭にあらわれるものであるから、児童の能力に適合した小集団を編成しひとりひとりを生かす指導を大事にした。


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