福島県教育センター所報ふくしま No.18(S49/1974.11) -022/025page
6. 準備
・ 鉄棒 マット (3グループ分)
・ レコードプレーヤー レコード
6. 授業の検証
(1) 学習の評価
第1次では、大集団で一連の運動をオリエンテーション的に行ない、段階的な練習のめあての指示をする。体得的なは握での意識面で学習意欲を高めたようであり、第2次では、事前調査をもとに能力別小集団の編成で実施し、3・4次では向上度合によって弾力的な編成替えで行なう。第5次で発表会を大集団で行なうことにした。能力別編成では、自己の能力に応じたステップが用意され、グループ内での児童同志のはげまし合いなどがみられ、効果的であり題材に即した教授過程として満足感がもたれた。(2) 集団編成
事前調査は、「さか上がり」「腕立て前転」「そりとび」の個々の項目で行ない、その結果を分析して第1次の集団編成を行ない、さらに実践過程で向上の程度によって編成がえを弾力的に行なったことは効果的であった。しかし、能力差に応ずる集団編成のため、人数のバランスがかたより、練習量の差がみられたようである。(3) 教師の役割分担
TLが体育主任であり、教材研究および実践のそれぞれの段階での専門的助言が得られ、役割分担に充実感がもたれた。そのため、個別指導準備が徹底できたし、T1・T2の分担内容が教材研究の段階で明確になり、分担した集団の指導により適切に指導ができたことは効果的であった。(4) 考察
体育は、一般に能力の差が大きく協力教授組織による合併授業によって、児童ひとりひとりの能力が全体的に向上してきた。また運動能力の学級差も解消することができ児童相互間の視野も広くなり、学級孤立の意識もなくなったようである。
一方、教師側からみれば、合併授業にもなれて教材研究、準備、指導についての負担も軽減された。また教師相互の特性を認めあい、励まし合いながら共同で計画し実践する協力体制の中で深い人間関係が醸成され、大きな収穫が得られた。
1. 学級集団の再編成
- ア
- 弾力的なグループ編成により、いっそう個別化がはかれた。
- イ
- 上位グループにひきあげた場合、その人数が多くなり待機している児童の場所や運動量が問題であると考えたが、その間児童相互学習目標の話合いがなされ、かえって効果的であった。
- ウ
- グループの人数については、能力の実態に応じて組み分けをしたので、各グループのバランスはくずれるが、ある程度やむをえないと思われた。
2.教師の役割分担
- ア
- 事前の教材研究や協議が十分ねされて教師の持ち味が生かされグループ指導が徹底した。
- イ
- チームリーダーは、上位グループを指導しながら授業全体に目が向けられるようになった。
- ウ
- 協力教授による指導法になれ、学習の流れも好調で満足感がもたれた。
- エ
- 3教師による協力分担がよく徹底して指導の手が行きとどき大事なポイントがつかめた。
7. 今後の課題
複数の教師が児童の実態に即しつつ指導内容を分担し適切な助言を与えていく協力教授は、学習の個別化の面からも適切な指導組織と思われる。
技術面の成果は大きい反面、学年の児童集団の学習に対する欲求を満すことや、主体的な取り組みには改善すべき問題が多い。本年度体育科については、福島市教育委員会の研究指定を受けたが、協力教授方式において学習の個別化をはかり児童をいかに意欲的に学習させるかは今後に残された大きな課題と言えよう。