福島県教育センター所報ふくしま No.19(S50/1975.1) -014/026page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

情報処理教育への視聴覚教材の活用

第3研修部  桜井 正一

はじめに

昭和48年2月喜多方商業高校が県の研究学校指定校として「電子計算機一般の学習指導について」というテーマで研究発表を行い,全国の事務科設置校の中から31校についてアンケートをまとめたことがあるが,その中の授業展開についてという項目の一つに「視聴覚教材を活用していますか」という質問に対し,60%の学校が活用しており,O.H.P.,スライド,映写機,V.T.R.の順位で学習効果を高めるために利用している。また,指定校の事務科の2・3年生176名が視聴覚教材の導入について,81.2%が希望しており,情報処理教育への積極的な導入の必要性を痛感した。

さらに,高等学校学習指導要領解説(商業編)では「商業に関する教科・科目の履習」の事項の一つに「情報処理についての基礎教育をなるべく広く行なうこと」また「各科目にわたる指導計画を作成するに当たっては,生徒個々の学習の成果を高めるために,これまでに行なわれてきたさまざまな指導方法をいっそう充実させるように努めるとともに,必要によリプログラム学習方式や各種の教育機器を導入することなどについても,適宣くふう,研究することが大切である」と述べている。

当センターでの情報処理教育講座COBOL,FORTRANの初級を担当し,研修生のコンパイラ言語に対する理解度を事前のアンケートによって認識してはおったが,講座開設後に相当の開きが出て,一人の脱落者も出さない方策として,グループ指導で視覚聴教材の活用をはかり,さらに個別指導へと進む指導形態をとることにした。勿論グループ指導に入る前の共通理解を得てもらう段階でも,当然視聴覚教材を用いた一斉指導を行うことが前提となっている。

このように,電子計算機を媒体として情報処理教育を推進するうえに,学習への動機づけやまとめ,さらに展開の過程において視聴覚教材が活用されることがいかに大切であリ,効果的であるかを考祭してみたい。

○視聴覚メデア

本来,教育といういとなみは,情報の伝達とその処理能力を培うところに根本的な使命をもつ人間的活動であるという見地から,機械・技術の革新,とくに情報化が日ごとにすすむ現代においては,当然教育の内容も方法もそれに応じて大きく変革されなければならない。そこに,元来保守的な教育が戸惑いを感じ,悩まなければならない理由がある。

教育の場合にかぎらず,およそわれわれが自らの環境と外界を認知するうえで不可欠の媒体となる情報には,大きく分けて「体験情報」「映像情報」「言語情報」の三種があると考えられる。そのうち「映像情報」というのは,絵画,図解,写真,スライド,映画,テレビなどによって,事実や事柄を伝えるものである。抽象的,概念的な事柄をできるだけ平易に具体的に理解させようとする努力と傾向の現れといってよい。

また,言語には歴史言語と空間言語があるといわれている。歴史言語の代表か文字であり,図解などは空問言語といえる。空間言語を利用することによって直観力に訴え,理解を早く,深くする。その教材内容が適切であればあるほど,その学習目的の明確化に役立つわけである。以上の観点から情報処理教育へ視聴覚教材をとリ入れた学習指導の最適化をはかるための手だてを考えてみよう。

1. O.H.P.(overhead projecter)

電子計算機の基本構成としての各装置とデータの流れや命令の流れを示したものや,さらにTP1のような記憶装置内の各領域を示し,立体的構造は握をはかる。FORTRANの記憶場所の変化について,プログラムの流れ図と対比させながら記入することを,「電子計算機一般」の科目の中で「プログラミング」という項目で指導するとよい。記億場所の変化はロール紙をO.H.P.ペン(水性ペン)でTP2のように図示する。指導者によっては,O.H.P.を直接黒板へ投映し,プログラミングの説明を行っているのを見うけるが,投映時間や照度に十分な配慮が必要であろう。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。