福島県教育センター所報ふくしま No.19(S50/1975.1) -024/026page

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地域指導者講座に参加して

大沼郡三島町立宮下小学校  佐藤 英夫

昨今,教師の専門性が問われている。なかでも,児童生徒の実態から問題を発見し,その原因を探り,即時適切な指導を加えていくことが,教師としての大きな課題となっている。この一翼をになって設けられている研修講座に参加できる32名の受講者にとっては,より科学的な研究手法を身につけることのできる千載一遇の研修の好機であり誠に光栄である。この機会を与えてくださった関係諸機関並びに,校務繁忙の中ご支援くださる同僚の先生方に対し,感謝の念でいっぱいである。さて,第3期までの研修期間において,我々は,それぞれに与えられている研究主題を,仮説・検証という段階をとおして解明しようと,現在,刻苦精励しているところである。作文の推敲を取り上げた小生などは,検証段階でつまずき,担当の先生方の長時間にわたる懇切ていねいな助言をいただいて,ようやく軌道にのせることができた。日ごろの不勉強を痛感した次第である。一方,受講者たちは,回を重ねるごとに親交が深まってきている。教育統計などの難解な講義を受講し終えたあとなど,宿舎で歓談するのは,心のなごむ楽しいひとときである。
吾妻山は,早くも雪である。研究の道はなお遠い。



教育相談講座に参加して

福島市立信陵中学校  鴫原 壮平

教育相談について特に深い研究や実践を持っていない私が,少し勉強してみるか,程度の気持ちで参加した。参加して,集まった先生方がよく勉強しているので内心はずかしかった。

講座内容は「教育相談事例研究法」「グループ・カウンセリング」「Y‐G性格検査演習」「思春期の精神医学」「教育相談の問題点とそのすすめ方」「ロール・プレイング」どれも密度の高い講義演習であった。特に思春期の精神医学の講義は初心者の私にとっては興味深かった。

日程が進むにつれて今まで断片的に持っていた知識が少しずつ整理されていくような気がしてきた。と同時にこれら学習した内容を現場に生かすとどんなことになるのか。カウンセラーは受容的態度,あせらず時間をかけて等,指導されたが,現在限られた時間,未熟な技術,現実の生徒の行動等相反する内容と矛盾。宿舎に帰り同室の先生達と議論したが解決できず,間題として残った。

講座を終え教育相談で教師のとった具体例をスライドなどでもっと多く紹介してほしかったような気がする。

4日間を終え教育相談に対する考え方がはっきりとちがったものになったことに気づくのである。


診断的性格を帯びた福島県標準学力検査の問題についてお知らせ

研究・相談部長  星  正

1. 問題作成のあらすじ

福島県教育センターでは,この程,中学校を対象とした標準学カ検査間題を作成しました。これは,診断的性格を帯びた本県の標準学カ検査問題であり,多くの学校において活用されはじめています。

内容は・中学校の1年と2年を対象として,国語,杜会,数学,理科,英語の5教科です。したがって,1年生の問題も2年や3年において活用いただいても有効です。

教育センターとしましては,県内における各学校のご協力をいただきながら生徒の現有学力の実態をは握して研究機関としての役割を果たしながら,一方自校の学力を診断しつつ,県内の水準で自校の学力の位置づけを考えてみようと希望する学校に対しても是非おすすめしたいと思います。

2. おもな特色


(1) 中学校においては,学習指導要領が改訂されたのでその趣旨にそい,教科書等の分析の結果に基づきながらテスト問題を作成したこと。

(2) ねらいを的確にし,測定しようとする要因を正しくは握できるように問題の構成を吟味してその妥当性に配慮したこと。

(3) 総合的な判定だけでなく,その結果を分析的にみることができ,指導上留意すべき点などを明らかにするための診断性を考慮したこと。

(4) 問題を領域ごとに作成し,領域別に標準化しようとしているので,個人内差異を偏差値の比較によって見ることができるようにしたこと。

(5) 学習指導要領を分析して問題を構成しているために,生徒の到達点をとらえる事ができ,成績不振の原因が,どの学習内容にあるかが指摘できるものであることなど。

これらを特色づけて作成した標準学カテストは,本県の実情に即した問題です。また,診断的性格を持たせたために問題の分量は多いですが,その測定値の信頼度は高いものと考えております。

上記のことがらをご賢察いただき,貴校におかれましてもご活用いただければ,まことに幸いに存じます。


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