福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -002/026page

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 学習指導の最適化をはかるための手だて

   小学校教材

        社会科における統計資料の活用

                          第1研修部 寺島康信

1. 社会科指導における統計資料利用の意義

 社会科の教科書をひもといてみると,ほとんど毎ペ一ジといってよいほど統計表・統計グラフ・統計地図などが掲載されていて,その面からも社会科の指導に統計資料が重要な役割を果たしていることがわかる。

 社会科においては社会生活に対する正しい理解を得させることが一つのたいせつな目標である。したがって,具体的な社会事象をどうとらえ,考えるかということが重要な問題であり,その見方,考え方を客観的なものにしていくためには,できるだけ多くの事象に接することが望ましい。しかし,現今の複雑多様な社会生活の中で児童が直接に経験することができるものは,きわめて限られた環境の中のある一面であることが多い。たとえ自分たちの生活環境外のことに関心が広がったとしても,複雑な社会事象の中から一定条件のもとにおける観察の対象を自分の力で選び出し,観察の結果を客観的に位置づけることはひじょうにむずかしい。それで,児童の経験を補い,視野を広め,さらに観察の方法や態度を養うために,教科書,地図,年表、その他の資料が活用されるわけである。統計資料もその一つと考えることができる。

2. 統計資料を利用した学習指導

 社会科で統計資料を用いる場合は,大きく分けると,
(1) 児童が直接社会事象を調査して統計を作る場合
(2) 既製の統計を利用する場合
の2つがある。低学年の社会科では,その学習内容から(1)の場合が多く,高学年では(2)の場合が多い。中学年は(1)から(2)への過渡期で,自分たちで社会調査を実施して資料を集め,それを活用する学習と,既製の資料を選択して用いる場合との両者が交錯する。

 中学年では,児童が直接社会事象を調査し資料を集める学習活動の一応のしめくくりの段階で,その学習についての内容を深めるぱかりでなく,統計やグラフの利用に必要な基礎的な技能を育てることにもたる。

 ところが,高学年になると学習の対象が,空間的にも,時間的にも広がって,自分たちの手で調査を行い,統計を作ることがむずかしくなってくる場合が多い。そこで,高学年の学習における統計の利用としては,既製の統計を利用することに重点がおかれることになる。

3. 統計・グラフに関する基本的事項

(1) 統計表の形式

 統計調査の結果表は,そのままでは全体の傾向や特徴が読みとりにくいので,さらに目的に応じて加工・分析され,表やグラフの形式にまとめられる。この表は結果表に対して,要素表とよばれている。報告書に解説を加えたりするときは,結果表を要約した表やグラフがよく用いられる。以下,統計表という場合には,結果表をさすことにする。

 統計表の各部には,次のような呼称が与えられている。

1  表題  統計表の内容を示すもので,簡潔で明りょうなものがよいといわれている。表題が長すぎる場合や,わかりにくいときは副題の形で,調査の時期・範囲などを示すこともある。

2  頭注  頭の部分につけられた注で,共通の単位や,あらかじめ知っておくと表を読む場合に役だつことが記されている。表1の場合には,単位が共通でないのでそれらは表頭の部分に記し,頭注では調査時期を記してある。

3  表頭  表の上部の,分類項目が並べられている部分を表頭とよぶ。それによって,縦の列が何を表しているかが才)かる。表頭には,分類の数が比較的少ないものや,簡単で短い項目名をもってくるのが望ましいとされている。

4  表側 (そく) 表の左側の部分を表側とよぶ。それによっ


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