福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -006/026page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

も,指示があれば必ず何らかの反床をしなければならない。しかもその反応は教師のすぐ手もとにあらわれるので,うっかり反応しないで済ますわけにはいかない。だから,学習者は,いつも教師を強く意識しながら学習している。

  このように,反応分析装置を用いた授業では,集団学習であっても,学習者にとっては教師と1対1の関係で学習していることになり,緊張度が高く在るものと思われる。

 2 自分の反応への不安と他人の反応に対する関心がある。

  他の学習者がどのような反応をしたのかわからないということは,自分の反応についてきわめて不安な気持にさせている。このことが,一方では,表2の4に見られるように他の学習者の反庁に強い関心をもたせるものと思われる。ときには,そのために,一種の興奮状態にさえなることがある。

 3 学習者全員が顕在反応をしている

  挙手による反応の場合は,集団依存ができた。ところが,反応分析装置を用いた場合は,必ず自分の判断で決定しなければならない。しかも,わからない場合や意見のない場合でもそれなりに意思表示を明確にしなければならないから,学習者全員が顕在反応(overtresponse)をするようになる。この活動も,意識を集中させる大きな作用をしているものと思う。

 一方,学習に興味をもたせ,意欲的にしている原因としては,次のことが考えられる。

 1 ボタン学習のめずらしさがある

  表2の2でみられるように「手をあげるよりもスイッチを押す方がよい」とする学習者が多数をしめているが,これは,ボタンを押すめずらしさがあるためだろうと思われる。ボタンを押して答えたりその結果がランプで知らされたりすることは,子どもたちにとっては手をあげるよりはるかにおもしろいことにちがいない。とくに小学校低学年の子どもにとっては,空想の世界にでもいる心地なのかもしれない。しかし,これは,単純な興味にすぎたいから,長続きしたいだろうし,多くを期待することはできないと思う。

 2 自分の反応が他人にはわからないという安心感がある

  表2の4でもわかるように,自分の反応を他人に知られるのをためらうことが多い。青年前期ではとくに複雑で,教師よりも仲間の方を意識して行動しているのをよく児かける。その点,反応分析装置では安心できるので,ためらわずに反応し,リラックスした学習になる。(一部には,自分の成功を他の者に知ってもらえない不満もある)

 3 正答反応の機会が多く与えられる

  反応分析装置を用いた授業では,1つの学習項目を終えるごとに診断することが多い。このような診断では,授業終了時にまとめて診断するよりも正答反応がはるかに多くでる。それだけ満足する学習者の数や回数が多くなるわけで,学習興味も瑞すことになる。

 4 反応結果がすぐわかる

  反応分析装置の大部分は,結果を反応直後に学習者へ知らせるしくみになっている。学習者にとって結果がすぐわかることは,学習のはげみになるし,誤っていればやり直すこともできる。さらに,教師から治療指導も受けやすいので,学習がやりやすくなる。

 このように,反応分析装置は,決して集団の状況をとらえるだけでなく,学習者ひとりひとりの意識を高める点で,他の教育機器には見られないすぐれた特性をもっているといえる。

 (2) 個別化のための使い方

 ところで,反応分析装置のこのような特性をじゅうぶん生かすには,どのような使い方をすればよいのだろうか。次は,このことについて少しのべてみよう。

  1 学習者側から気軽に使える機会をつくる

  反応分析装置を用いた授業が緊張度が高いといっても,実際に緊張しているのは機器使用の前後であって,授業中いつも緊張しているわけではたい。機器の使用回数を多くすれば緊張ひん度も多くなるが,さればといって診断回数をあまりふやすと逆に学習効果が低下してしまう。そこで,学習者側からの利用を組み入れて,適度の緊張を保たせるのが効果的である。学習者に気軽に利用させる方法には,「質問あり」「意見あり」「今の説明をもう一度」などや,レコード鑑賞中にとくに感動したところでボタンを押して知らせたり個別学習中に学習進度を知らせたりすることがある。

  2 全員が反応できるように選択肢をくふうする

  5肢選択の場合5つとも有効選択肢になっていることが多いが,全員に反応させるには、有効選択肢を3つだけにして「その他」や「わからたい」の選択肢を入れるのがよい。また,二者択一で教師はどちらか一方がわかればよい場合でも,両方に反応させるのがのぞましい。さらに,各人の思考を規制しないように,構成反応の方法をとり入れることもたいせつである。

  3 満足させ,意欲を起こさせるKRをくふうする

  学習者の不安の解消や治療指導のために,結果を知らせることがたいせつである。

  KR (knowledge of results)の最も一般的な方法は正答や回答状況を知らせることであるが,個別化のためには,次のこともたいせつである。

 ア できるだけ正答反応へ導く   1回の反応ですぐ正答を教えるよりも,誤答者には助言をしたあとで再び反応させ,できるだけ正答反応の機会を多くしてやる。

 イ 回答状況を知らせるときは,学習者の心理をよく考えて


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。