福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -007/026page

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  たとえば,結果が好ましくないときは,そのまま知らせるよりも「昨目よりだいぶよいね。できなかった人はがんばりなさいよ」といった方がやる気を起こさせる。また,ときには,大部分ができているのに「50%ぐらいだね」といって下位の学習者に自信をつけさせるのもよい。

 ウ 個人へのはげましを忘れない

  ランプで正答を知ってよろこんでいるとき,「〇○君よくできたね」という教師のことばは,学習者にとって実に人間味のあることばに感じるであろう。機械を使う授業であるから,ことさらに教師のことばのもつ力は大きい。

 一方,次のような使い方は,個別化にとっては逆に弊害となることがあるので,できるだけ少なくした方がよい。
 ア 回答率重視の授業
 イ ひんぱんな記録器の使用
 ウ 自動操作

 3. 個別化のための診断

 (1) 表示器による診断

 個別化には,個別回答表示ランプを用いるのがよい。個別回答表示ランプで診断できることのうち,個別化に直接役だてられるものとしては,次のことがあげられる。 ア 誤答している学習者を知る イ 問題が解けなくて困っている学習者を発見する ウ 回答に自信のもてない学習者を発見する 以上は,逆の立場の学習者も知ることができる。 工 同答がはやくても間違いの多い学習者やおそくても確実な学習者を知る オ 個人の考え方の傾向を知る カ 鑑賞学習中の学習者の心情を知る キ 質問や意見のある学習者を知る ク 個人ごとの学習進度を知る

 次に,個別回答表示ランプによる診断で,個別化のうえからとくに配慮したいことやくふうしたいことをのべておこう。

  1 できない学習者が浮き彫りになるような診断方法をくふうする

  個別化は,できたい学習者だけの面倒をみることではない。しかし,現実には,このことに大きな努力をはらわなければならないであろう。

  表示ランプは,点灯している方に注意が向くので,できた学習者に点灯させるよりも,はじめに全員に一点灯させておき,できたら消させる方法がよい。

  2 観察と併せて診断する

  ランプだけで診断していると,結果を機械的に処理しがちになる。また,ランプを1O0%信用することも危険である。そこで,学習者を観察することと併せた診断がたいせつになる。一方,学習者にとっても,反応したときに教師が自分の方を見てくれれば,それが1つのKRとなり,教師への親しみと励みになる。

  3 データを累加して診断する

  このランプだけではデータの正確な累加は困難であるが,プラスチツク氏名板に診断ごとに簡単な印を付けておくだけでもかなり役にたつ。

 (2) 記録による診断

 反応分析装置による記録のうち,個別化の資料として多く用いられているのは,表3の個別反応記録である。

表3 個別反応記録

表3 個別反応記録

 この記録表は,正答と誤答をインクの色で区別しているものが多い。したがって,学習者がどの問題でつまずいたのか一目でわかるし,さらに,どのような間違いかたをしているのかもわかる。

 この表から,表4のような S-P (students-problems)表を作ると,さらにいろいろな診断ができるようになる。

表4 S-P表
表4 S-P表

 例えば,得点だけではわからない異質(答えの傾向が他の学習者とちがっている)の学習者が発見できるし,個別化の効果の診断もできる。

 S-P表は,個別化の資料として役だつだけではない。集団の特質や理解の状況,問題の難易・適否・異質性など,授業改善のための多くのことを教えてくれる。この表の作り方やその活用のしかたについては,別の機会にのべたいと思う。

 4. おわりに

 以上で,反応分析装置が,学習指導の個別化に有効であることをのべてきた。しかし,これらのことは,個別化の手がかりを得るにすぎない。個別化の実を見るには,この手がかりをもとにして学習者ひとりひとりに即応した手だてを施さなければならない。それには,教材の多様化や適切なメディアが必要になってくるし,さらに,ティームティーチングの必要もでてくるであろう。反応分析装置の個別化における効果は,これらの研究や実践と相まって増大するものと思う。

 一方,まだ反応分析装置のない学校が多いのであるが,簡易反応分析装置でもかなり有効に使えるし,アンサーカードやアンサーポールでも反床分析装置のいくつかの機能を代用することができる。反床分析装置がなくともあきらめないで,ぜひいろいろとくふうしてみてほしい。


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