福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -009/026page

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るとシリンダーが上昇していく(写真3)。セットしたときから,シリンダーの下瑞が25から50目盛まで,51ml上昇するごとに,その所要時間を計測する。

〈実験上の留意一点〉

 1 実験の能率を高めるためには,発酵液が40℃になるように配慮すべきである。あらかじめショ糖液や酵母液用の蒸留水を温めておく。それに注射器も40℃の恒温器に入れておくとよい。

 2 注射指のシリンダーに,流動パラフィンを塗っておくと気密になり,よい結果が得られる。

 3 注射針をつけたまま発酵液を吸い上げてもよいが,発酵液の濃度が高くなると針の中がつまって,注射器内に液が入らなくなるおそれがある。

 4 大きい注射器を使用する場合は,一定の気体量になるまでの時間を計測する方が,一定時間毎に気体量を計測するより測定誤差が小さい。

 5 シリンダーが上昇して50目盛に達し,引き続き気体の発生量を測定しようとする場合には,注射器をビーカーから取り出して倒立させ,ゴムせんを取りはずして,注射器内の気体を押し出して,液量が20mlになったら(写真ー4)針をゴムせんに刺して,再び40℃の温水の入ったビーカーにセットし,あらたに時間を計測する。

写真ー4
写真4

 4 酵母の種類と発酵量との関係を調べる。

 圧搾酵母と乾燥酵母の量は,まず、圧搾酵母10gを基準として,5gと20gにし,圧搾酵母は乾量30%であリ,乾燥酵母では乾量90%なので,.圧搾酵母10gは乾乾燥酵母の3.5gに相当する。これを基準に7g,14gとした。

 1) 圧搾酵母の量と発酵姓との関係

  10%ショ糖液100mlに圧搾酵母をそれぞれ5g,10g,20g加えて,発酵液をつくり,これを4本の50ml用注射器に20mlずつ分注して,発生する二酸化炭素が5mlまたは10mlと増加するごとに,その所要時間を計測して平均値を出す。(表ー1)

表1 圧搾酵母の量と発酵量
 CO2発生量(ml)  5 10 15 20 25 30 平均発酵量(ml/分)
A(圧搾酵母5gの所要時間) 7′20″ 10′15″ 13′15″ 15′55″ 18′30″ 20′55″  1.8
B(  〃 10gの 〃  ) 3′30″ 4′55″   7′35″   10′20″  3.6
C(  〃 20gの 〃  ) 2′15″ 3′23″   4′15″   5′40″  7.3

 2) 乾燥酵母の量と発酵量との関係

  乾燥酵母の場合には,圧搾酵母と比較して,粒状で非常にかたく,そのままでは容易に水に溶けにくいので,乳鉢に入れて,予め40℃にしておいた50mlの蒸留水を少量加えて練りながらすりつぶす。粒状がなくなったら,残りの蒸留水を加えてよく溶かし,酵母液50m陸つくる。乾燥酵母をそれぞれ3.5g,加えた酵母液を上記の方法でつくり,ショ糖液50mlと混合して発酵液をつくる。あとは,圧搾酵母のときと同様にして発生する二酸化炭素量を計測する。(表ー2)

表2 乾燥酵母の量と発酵量
CO2発生量(ml) 5 10 15 20 25 30 平均発酵量(ml/分)
D(乾燥酵母3.5gの所要時間) 18′10″ 21′35″ 24′45″ 27′55″ 30′40″ 33′25″ 1.6
E(  〃  7gの 〃  ) 6′40″ 8′25″   11′45″   14′45″ 3.0
F(  〃  14gの 〃  ) 2′30″ 4′00″   5′20″   6′50″ 5.8

 表ー1と表ー2のデータを,横軸に時間(分),縦軸に二酸化炭素発生量(ml)をグラフに書いたのが図ー1である。

図1 酵母の種類と発酵量
図1 酵母の種類と発酵量

 二酸化炭素発生量が5mlから30mlに増加するまでの時間で増加量を割った値が,平均発酵量である。酵母最(g)を横軸に発酵量(ml/分)を縦軸にしてグラフを書くと図一2になる。

図2 図2

このことから,圧搾・乾燥の両者とも,酵母料に比例して党酵最が増加して,大体2倍になっている。両者が著しく違うのは,二酸化炭素の発生量が51mlになるまでの時間で,圧搾酵母の方は,4分位の差であるのに,乾燥酵母の方では16分弱の差があり,特に3.58の場合が著しく時間がかかっている。またグラフからみる


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