福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -011/026page
小学校教材
小学校の直流回路の指導について
〜実験器具の整備と活用を中心として〜
第2研修部 寺島八郎
はじめに
科学の方法について,小学校学習指導要領の内容の取り扱いの項で記述してあるが中学校・高等学校などの指導要領のように明確にはなっていない。しかし,自然を探究する手法は小学校のときから繰返し訓練していく必要がある。そこで,小学校の電気教材の配列の再検討,実験・観察のための実験教具の開発,教材教具の活用等について問題になる。以下小学校の電気学習の一展開について述べてみる。(小学校4年の乾電池のつなぎ方の実験学習を中心として)
1. 電磁気教材の各学年の構造と内容について
まず,各学年毎の電磁気教材に関する科学的見かた・考え方と概念の系統および科学の方法指導の重点箇所をまとめるとつぎのようになる。(東書および大目本図書)
学年 概念の系統と期間 科学の方法 1年 ○磁石遊び
1月〜2月(6〜8)○磁石につくものつかないもの。(分類) 2年 ・豆電球
12月(4〜5)・電気を通すもの通さないもの。(分類) 3年 ・豆電球のつなぎ方
2月(7〜8)
○磁石
2月(6〜7)・豆電球の直列つなぎ並列つなぎ。(分類)
・乾電池の弱まり方の違いを実験から推論する。(データ解釈)
・電気の通り道の記号化(表現・伝達)
・電気の通り道の。(モデル形成)
○磁石の働き向きのモデル形成(モデル化)
○磁石の力の働き向きを実験から推論する。(データ解釈)4年 ・乾電池のつなぎ方
12月(8)・乾電池の直列つなぎ並列つなぎ。(分類)
・電流計の使い方および方位磁針の使い方(測定)
・ブラックボックスによりブラックボックス中の配線のモデル形成。(モデル形成)
・配線図で示す。(表現・伝達)
・電流を通す液通さない液。(分類)5年 ・電流による発熱
2月〜3月(9〜10)・電熱線の熱の出かたを発泡ポリスチレンやろうのとけ方で調べる。(測定)
・電熱線の発熱量を調べる。(測定)
・電熱線の太さ・長さと電流の大きさや発熱量との関係を調べる方法を考える。(実験の計画)6年 ○電磁石
2月〜3月(10〜11)○電磁石の磁力の違いを測定するくふう。(測定)
○実験の結果を発表する。(表現・伝達)上記のことから電磁気教材に関しての指導期間が各学年とも12月末から3月にわたっており,児童や教師にとってもたいへんむずかしい学習過程をたどっていることがわかる。最近児童に「実験セット」を持たせ,「科学の方法」を得させようとしている学校が多い。この「実験