福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -012/026page
セット」の使用についても十分に使用計両をたてて理科学習の目標を達成できるように配慮されるべきと思う。
2. 小学校における直流回路の学習のねらいについて
さて,小学校の直流回路の学習をすすめるために,
(1) 豆電球を点燈させるには,乾電池をどのようにつないだらよいかいろいろな方法をくふうする。点燈したときの電気の通り道を実態図で書く。
(2) 乾電池や豆電球の数をふやして,電気の通り道をいく通りもつくり,そのときの豆電球の明るさを観察するとともに,電流計の針のふれや乾電池の消耗度から電流を量的に比較する。
(3) 複雑な回路の電流量や電圧の大きさを測定して,直流回路の規則性を実験結果から発見する。
(4) 学習段階に庁じたブラックポックスを使用し,学習したことを整理するとともに,ブラックポックスを推論し,その推論が正しいかどうか検証する。
などのねらいを考えて指導する必要がある。
3. 電気教材の実験学習について
小学校の電気学習では2年で「電気回路の考え方」,3年で配線図を書き,「電球のつなぎ方と明るさ」,4年で「電流の強さと明るさ」や「乾電池の消耗のし方」を調べる。これらの内容の中,ここでは,小学校4年の「乾電池のつなぎ方」の学習を中心とし,その実験学習の展開を考えてみることにする。
実験1 かい中電燈と同じ乾電池を並べて豆電球をつける実験。〔かい中電燈と同じ配線のし方と配線図の指導をし,種々の回路をかき,検証する態度をつくる〕
実験2 直流電流を使って電流の大きさを調べる実験。〔電流計の操作,配線のし方,配線図,測定の指導〕・ (操作)直流電流計の正しい扱い方・ (配線と測定)
実験3 乾電池のはたらきの弱まり方を調へる実験。〔乾電池のはたらきの消耗を重一点化して考察させる指導〕・ (準備)実験セット(自作教具の活用を中心として) 乾電池(単2)5個,豆電球(MB-25G3)3個,乾電池ホルダー4個,理振法島津製の直流電流計および直流電圧計各3個,みのむしケリップつき導線14本など。・ (配線と測定)〔表ー1参照〕
・ (データの処理)実験3の測定はたいへん長時間継続して測定しなければならない。この測定は30分おきに40時間かかって完成したものが〔表ー1〕である。この測定した結果から判明したことは,
(1) 乾電池のつなぎ方で,最も早く消耗してしまったのは「2の直列つなぎ」で,最も遅く消耗したのは「3の並列つなぎ」であることが実・証された。
(2) 「2の直列つなぎ」は「3の並列つなぎ」より明るく点燈し,「3の並列つなぎ」は「2の直列つなぎ」よりも長時間点燈していた。
(3) 単2乾電池によってMB-25G3の豆電球が一点燈しにくくなるのは「直流電流計の読み」で160mA程度の電流の大きさである。使用前の乾電池の電圧の1/5〜1/6くらいの電圧になると乾電池の寿命がたくなることがわかる。
(4) 乾電池の消耗は使用停止すると使用停止前より電流計の示針が大きくなる。
(5) 「1」は「3」の2倍の長時間点燈するとは限らない。
などである。この実験をはやめる手だてで一般にとられる方法には,単3乾電池を使用したり、豆電球の数を2個以上並列つなぎにしている。この実験では乾電池の寿命のすべてを測定するのではなく,もっとも変化の著し