福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -013/026page
いところを測定できるように実験を計画すればよい。
実験4 方位磁針による電流の大きさや向きを調べる実」験。〔方位磁針のふれで電流の槻則性の検証指導〕
・ (操作)方位磁針の正しい扱い方
実験5 方位磁針のはりのふれの大きさから電流の大きさを調べる実験。〔電流の大小を'探知する指導〕などの実験学習を基・本展開とし,さらに,推論や検証などの「科学の方法」を得させるブラックポックスを用いて学習の定着を考えることがのぞましい。
4. プラックボックスの製作と実験方法の展開
(1) ブラックボックスの製作
・ (準備)導線φO.26oのホルマル線50cm1本,ベニヤ板(O.5cmXlO.5cmX12.Ocm2枚,1.2cm×3・5cm×12.0p2枚,1.2p×3.5pX8.0p2枚),電池ホルダー(単3)2個,ソケットつき豆電球1個(みのむしクリップをつけるとよい)
・ (製作時間)30分〜50分程度,・(経費)300円程度
・ (作り方)1 箱はふたつきのものをつくる。(釘はしんちゅうを使用)
2 電池ホルダーを箱の中に入れて固定し,乾電池の板につなぐ。導線が引いてもはずれな、いようにする。
3 中の配線は,どのように変えてもよいがショートさせないようにする。
4 外にでる線には(図1)のようにし,線の記号はあらかじめつけておくようにする。
(2) 電池箱による実験
1 観点 電気回路を調べる手がかりとして「豆電球」と「方位磁針」による2つの方法をとる。
2 測定
(ア) 豆電球による方法 組み合わせ回数 テストのつなぎ方 明るさの程度 乾電池数 1 アとイ ○くらく つく 1個 2 アとウ ○くらく つく 1個 3 アとエ ◎明るく つく 2個 4 イとウ ×つかない 0個 5 イとエ ○くらく つく 1個 6 ウとエ ○くらく つく 1個 ここでは,ア,イ,ウ,エの組み合わせを考慮して推論させ実験後ふたをあけて検証するように指導する。
(イ) 方位磁針による方法
使い方は(ア)つの方法と同じであるが3は大きくふれるが4をのぞく1,2,5,6のふれの2倍にはふれない。
以上2つの方法により 実験4 や 実験5 の推論と検証をブラックボックスによって直流回路のねらいを整理するのにたいへん役立つ。いままで述べてきたことから実験学習を効果的にするためには,各学年即応の実験自作セットを考案し,これを使用することにより,よい理科学習ができ,指導のねらいが達成できると思う。
小学校4年の電気学習を展開するためには,小学校低学年の先行経験を生かし,必ずつぎの4つのステッブをふまえながら指導することがのぞましい。
1 2個の乾電池のつなぎ方の指導を重視する。(回路)
2 豆電球の明るさと電気の流れ方のきまりの指導を徹底する。(電流の法則性)
3 乾電池のはたらきの弱まり方の指導を大切にする。
4 科学の方法の「推論」をさせるブラックボックスによる指導を独化し,教具の開発を促進させる。
おわりに
小学校の電磁気学習は,スパイダー方式による理科学習で,教材の配列がとびとびに各学年に散在しているのが特徴である。このような理科学習の構造と内容をもっている電磁気教材の小学校における低学年理科指導の中核は,乾電池の使用を中心としての「直流回路の学習」であり,特に,小学校4年生までは「乾電池」「ソケット」「豆電球」「導線」「電流計」「方位磁針」などを自由に使って児童に器具の操作,電池の消耗などについて注意深く体験させることが強調されている。
そのためには,建築家が家屋を建てるときに,自分の「工作道具」を使って,よりよい設計をほどこし,家屋を完成するように,理科学習においても,理科学習のいうことよりは,正しい理論を導き出す実験操作を正しく身につけさせる指導法が価値のあるものと考えられる。
よって,理科学習における小学校の低学年では,特に,児童がいつも楽しく生き生きした学習をするには,どうしても,教師自身が、「建築家の工作道具」のようたものを持って指導にあたる姿勢が要求されるのではないだろうか。このような視点から「小学校4年の乾電池のつなぎ方」の指導にあたって必要な教具として・つぎのものを作ってみた。
1 乾電池テスター〔台つき豆電球・木板・しんちゅう板を用いて単1,単2、単3の乾電池のはたらきをしらべる〕……〔1個〕
2 ソケットつき豆電球二……〔1個〕(コードにみのむしクリップをつけてある)
3 乾電池ホルダー〔ビニールパイプ,木板,しんちゆう板を用いてつくったもの〕……〔4個〕
4 みのむしクリップつきコード……〔14本〕
5 ブラックボックス〔2個〕(電池箱と豆電球箱)
これらのものと理振法の備品を連結することにより児童が種々の教具を操作して,学習内容に適した手だてを発見することになる。これらの学省は事象の究明のさせ方がきわめて大切であり,学習内容に適した教材教具の開発が要求される。また,小字校低学年の理科指導にあたっては,従来の教科書の内容のみにとらわれないで,児童自身が,活動条件を制御しながら自由に楽しく学習ができ,ともに豊かな創造カの素地が育成されるように努力しなけばならない。