福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -014/026page

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     本年度の研究・研修のあゆみ

 福島県教育センターは,教育に関する研究(教育思想,教育原理ならびに教育行財政,学校経営,管理,教育内容・教育方法,教育実践等)教育各分野に関する研修(教育研究の成果に基づく各教科・分野についての研修)教育に関する奉仕(教育相談の奉仕,教育資料の収集・管理・提供と教育史の編さん)の諾事業を行っている機関であり,これらの機能を遂行するための組織は,第1研修部(第2研修部担当以外の教科等),第2研修部(理科,家庭,技術・家庭),第3研修部(情報処理),研究・相談部(教育研究,教育相談,教育資料,教育史編さん)で構成されている。

 つまり,福島県教育センターは3つの性格と機能を持つものと考えられる。1つには教育研究の機関であり,2つには教職員研修の機関であり,3つには教育に関する奉仕活動の機関であることになろう。

 ここに昭和49年度の各部の実施した事業内容とその課題等を掲載し,紹介するとともに,将来への一歩前進の資料としたい。

    ◇研究・相談部◇

 教育の諾問題の究明と現場の要請に応える教育研究をはじめ,児童・生徒の教育上の問題についての教育相談,図書・資料の収集・管理や紹介・提供等を担当している教育資料,教育史編さん業務を遂行している,研究・相談部における本年度の実施内春および課題は次のようである。

 1. 教育研究の状況

 教育組織の継続研究としての「学校経営改善に関する研究」,協力組織活動の積上げ研究としての「教授組織に関する研究」,能力の発達に関する基礎研究としての「児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育」,生徒指導に関する「高校生の精神衛生の実態について,特に生徒の自殺および自殺末遂に関する研究」ならびに「中学校福島果診断標準学力検査問題」の研究をおこなってきた。

(1) 学校経営改善に関する研究

 1 この研究は「学校経営の組織体制や弾力的な作用について実情を明らかにし,機能的な学校経営のあり方を究明する」という過去3年間の研究を継続しておこなったものである。

 2 本年度は特に現職研究に視一点をあて,さらに追跡調査を実施し,その実情を検討して今後の各学校における現職研究改善の資料とするものである。
  主な内容は次のようである。
  ア 現職研究の組織
  イ 研究組織と実施運営上の諾間題との関連など

(2) 教授組織に関する研究

 学校組織体制の中心を教授・学習組織におき,教育内容,教育方法・技術とのかかわりあいから,教授過程の構成とその役割分担を明らかにしようとするものであり,過去5年間の研究を継続しておこなったものである。

 1 主な研究課題をあげると次のようである。
  ア 協力教授体制による教授過程のあり方
  イ 教授過程における役割分担とその活動
  ウ 各組織間の相互関係とその活動

 2 実験学校に次の学校をおねがいして,実証的研究をすすめた。
  ・福島市立吉井田小学校校長黒須惣助
  ・安達町立下川崎小学校校長高荒敏一

(3) 福島県診断標準学力検査問題の研究

 1 中学校において,全県的な立場から学校および生徒の学力をとらえ,学習指導に役立てることを目的として研究をすすめてきた。

 2 本年度の問題作成は中学校第3学年を対象とした国語,社会,数学,理科,英語の5教科である。

 3 作成にあたっては,特に次の事項を配慮しておこなった。

  ア 目標を細分化し,内容系列との関連をはかり,教科の学力を対比できるようにした。
  イ 領域,さらには観点を設け,その標準化により教科の学力を対比できるようにした。
  ウ 内容の分析的構造の順次性から到達度や過程の陥没点をとらえられるようにした。
  工 学カ形成過程を尊重して,問題数を多くし,検査問題としての信頼性を高めるよう配慮した。

  また作成の過程で「予備テスト」を実施し,本問題の作成をおこなった。

(4) 児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育

 「児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育」の研究といっても発達のとらえかたが,不十分であるので,今年度は家庭生活の基礎的な技能の発達にスポットをあてて,その実態と実際に想定された発達と現実のズレを究明しようとした。窮1年次研究では,発達の実態と基礎技能のかかわりあいから発達の要因や条件を探究しようとしている。


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