福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -015/026page

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 主な内容は,次のとおりである。

 1 子どもの発達をささえる家庭,学校の状況
 2 家庭・学校での基礎技能の取得状況
  (個人と集団の両面より追求し,5段階法でその実態をとらえた。)
 3 技能が学習のすき,きらいや仕上げ態度,できばえとその関係,効果の状況など。

 調査は質問紙法と面接法を併用し,その対象を次のようにした。
 質問紙法 小学校5年,247名,6年,304名
        中学校2年,309名,合計860名
 面接調査 小学校8校,中学校3校,男・女計180名
について実施した。面接調査では,とかくたてまえ的応答を補足,深化し,本音をさぐる意味で加味してみるが,その結果は,紀要としてまとめ各学校に配布する予定であるので参照されたい。

 (5) 高校生の精神衛生について,特に生徒の自殺および自殺未遂に関する研究

 昨年度は,小・中学校児童・生徒の長欠およびかん黙の治療的指導に関する基礎的研究を実施したが,本年度は,県下各高等学校において時おり発生をみる自殺および自殺未遂に研究の焦点をあて,自殺(未遂)行為を防ぐにはいかなる指導が加えられなければたらないかを探ってみた。

 研究の主な内容は次のとおりである。
 1) 各高等学校における教育相談室の有無と活動状況
 2) 各高等学校における教育相談係の組織
 3) 各高等学校における自殺(未遂)者の実態
 4) 各高等学校における自殺(未遂)に対する対策
 5) 自殺者が出た場合の指導のありかた
 6) 自殺未遂者に対する指導のありかた

 なお,本研究は県立高等学校109校に対して質間紙法によって調査されたものを分析研究し,さらに検討を加えてまとめられているので,各現場において先生がたが直接生徒を指導される場合,ハンド・ブックとして手軽に利用されることを望む次第である。

来談者数
来談者数

 2. 教育相談の状況

 幼・小・中・高の児童・生徒を対象として,性格・行動の異常,知能の遅れ,しつけなどの問題について,来所・通信による相談・矯正・治療を行ってきたが,昭和49年度は,相談・治療の実施回数が大幅に増え,50年3月までは500回をオーバーするのではないかと推測される。

 相談内容は,依然として登校拒否が多く,しかも高年齢化している。また,夜尿の治療のために来所する件数も増加が著しい。次いで集団不適応のために来談に来るケースも目立って多くなってきている。

 さらに,知能の発達の遅れや学業不振をうったえるケースも増加しているが,特に注意したいことは,これらのケースの半数近くが,ベンダー・ゲシタルト・テストやH・F・Dテストの結果,脳損傷や重い情緒障害があって引き起こされていることがわかり,各地域の精神科医との連けいをはかりながらの治療が必要とされることであろう。

 なお,学校・学級における教育相談の計画運営についても,現場の先生方からの相談を受けつけ,できうる限りの協力をしてきたが,今後の学校教育相談の発展のためにさらに一層の努力を重ねていきたい。

 3. 教育資料の整備および普及の状況

 教育図書については,本年度546冊の増加をはかって, 17,500を教えるようになり,教育資料については,各教育機関や研究学校等の研究紀要・研究報告書など1,100冊の供与を得て,12,000冊の整備をみるようにたった。これらの図書・資料については,図書目録・資料目録を作成するための原稿がすでに整備されている。配架については,古文書,教育一般図書三新刊図書,教育資料に大別し,活用を主体とした方式をとり,研究・研修の便をはかっている。

 資料の提供・あっ旋については,先にあげた教育研究の成果を紀要にまとめて,資料として提供するとともに研究文献の積極的な紹介や新刊参考図書のあっ旋につとめた。

 所報については,予定どおり年間5回発行し,当センターにおける研究・研修の過程や教育展望など,成果・情報等を提供し,教育活動の参考資料に供した。

 4. 福島県教育史の刊行

 福島県教育の歩みを史実にもとめて,その進展過程で本県教育の果たしてきた役割や特殊性を明らかにするとともに,教育実践・研究の努力を顕彰し,本県教育の進展をはかる目的で,本史第5巻,資料集8集の刊行をすべく,編集を進めている。

 1 本史 第5巻(統計・年表編)
  統計編は,年代を戦前(太平洋戦争)の部と戦後の部に分け,学校教育関係を中心に計数を掲げる。
  年表編は,学制頒布以前から昭和47年までの呈本県ならびに国の教育的事項を中心に掲げる。

 2 資料集8集  福島県教育史の調査委員が,本巻第5巻の年表を作成する段階で,発掘・調査・収集した資料に基づき各担当部の年表としてまとめたものである。

 以上で,「福島県教育吏」編さん関係の事業は完結することになった。


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