福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -020/026page
高等学校国語講座(109)
例年同様,高等学校国語科担当教員40名を対象とし,専門的分野と国語教育分野の両面の研修を目的として実施した。 専門的分野では講義を中心とし,国語学(東北大・佐藤先生),近代文学(宮教大・橋浦先生),中国文学(東北大・金谷先生),中世文学(福大・鈴木先生)と幅をもたせてみた。国語教育分野では現場の実践を中心とし,論説・評論(福高・嶋原先生),文学教育(安高・渋谷先生,郡商小池先生),古典教育(参加者全員の発表)の協議を実施したが,いずれも予定時間をこえる熱心さであった。来年も楽しく豊かな研修を心がけていきたい。
高等学校社会(倫社)講座(112)
今年度は4年目で,倫社講座を行った。高校講座のねらいは,科目の専門教養を主とする目的から次のような内容を強調した。講義内容として,東北大一金谷先生<諸子百家について> ,東北大一小田先生<現代の思想> ,郡山女子大一長谷川先生<現代と人間> は理論的な講義で好評であった。協議内容としては,安積第二高一六角先生問題提起<カントの思想> ,福高一安斎先生問題提起<日本の思想> については,現場の先生の労をいただき,協議内容は活発であった。また,大村先生による<思想文化碑調査> のバス巡見学習も大変好評であった。次年度の地理講座もより充実するよう計画したい。
高等学校数学講座(l15)
この講座は,高等学校数学科担当教員40名を対象とし現代数学を背景に数学教育の現代化にアプローチした,数学科の専門的内容の研究,指導力の向上を目的とした。 講座内容として,福大教授工藤先生<数学教育と学習心理> ,東北大教授土倉先生<確率論> ,東京学芸大教授若桑先生<幾何学一般> ,福大教授佐藤先生<代数学(構造)> ,など斯界専門の先生方の講義を中心とし,統計的処理とコンピューターについての実習を加味した研修に参加された先生方はいずれも熱心にしかも自主的にとりくまれた。来年度は先生方から述べられた反省を参考として,内容の充実をはかっていきたいと思う。
高等学校音楽講座(l18)
12月3日から4日間,高等学校担当教員16名に対し実施した。講座内容は,「リコーダーの奏法とアンサンブル」「エレクトーンの奏法」「ギターの奏法」「筝の奏法」と教師の技術の向上を主とした実技研修が中心であったが,特に「基礎の理論」において,これからの音楽教育のあり方や指導法について,真剣な討議が行われ,本講座のみにとどめず,音楽部会で取り上げ研究し,指導法の改善まで進展させたいとの意見があり,布意義であった。「日本の音楽」の指導は,いちばん遅れている領域なので,実技だけでなく理論的な裏づけの講座もほしいとの意見もあったので今後に生かしたい。
高等学校美術・工芸講座(121)
(1) 白沢菊夫福島大学助教授を講師として,頭像の彫塑(モデリングから石膏どりまで)の実技 (2) 所員による木材工芸(彫塑の台製作)
モデルを用いての彫塑制作のため,研修生が非常に熱意をもって研修され,予期以上の成果があがった。台の製作も,デコラ張り仕上げの工法をとったので,初めての先生方が大部分で興味深く研修された。来年は同一人に年2回実施し,焼物について,成形から本焼まで一貫した研修を実施する予定である。手びねり,ロクロ成形等それぞれの美しさを追求し,焼物本来の造形美を求める先生方が多数参加されることを期待している。高等学校書道講座(122) (1) 会津女子高校菅野三雄先生を中心として「書道教育の問題点」について講義と協議
(2) 福島女子高校綱代春朋先生を講師として「刻字」の実技研修
(3) 安積女子高校菅野健七先生を講師として「書表現」(かな文字)の実技研修
(4) 綱代先生と所員により,前目書いた作品の額装実技
(5) 須田哲夫福島大学講師による書道の評価についての講義と協議
それぞれの先生方は意欲的に研修をされた。今後も書くことに限らず価広い研修内容を組んで行きたい。高等学校保健体育講座(125)
高等学校保健体育担当教員40名を対象とし,体育科の理論および諸問題について研修を深め,指導力を高めることをねらいとして実施した。 講座内容は,「トレーニング効果」順天大石河利寛先生,「体育心理」袖大遠藤辰雄先生,「運動生理」福大関口栄先生,「学校体育の今目的課題」高崎剛先生,「保健体育科指導上の諾問題」斎藤久先生,「体育の評価の活用」古内俊直先生の講義をお願いした。 来年度は先生方の御要望も強いので,実技の時間を設けたいと思っている。より充実した講座になるように御協力を切望する。