福島県教育センター所報ふくしま No.20(S50/1975.3) -022/026page
実験学校の研究のあゆみ
教授組織に関する研究
安達郡安達町立下川崎小学校長 高荒敏一
福島県教育センター研究・相談部長 星 正
1. 学校の規模
東北本線松川駅から,南東へ約2キロメートルの所にあり,保護者の99%が農業を営んでいる。
1学年1学級・児童数85名・職員数9名(男6名・女3名)という小規模校である。2. 研究の概要
(1) 研究テーマ
「小規模校,少人数学級におげる協力教授による学習指導の改善」
(2) 研究の趣旨
本校の児童数は,1学級あたり14名前後であるため個別指導に適している。しかし,適正な学習集団という観点からは,いくつかの問題点がある。特に音楽科の合唱・合奏,体育科の陸上競技・ボール運動等の指導では,少人数のため,それらの目標をじゅうぶんに達成するのに困難である。したがって,これらの問題点を打開するために,近接2学年による協力教授をとり入れ,教材の特性や能力差に床じた学習集団の編成を意図し、学習指導の改善につとめてきた。
(3) 本年度(第4年次)の研究内容
1 音楽科,体育科の指導計画の改善
2 第6学年理科B領域の複数教師による指導3. 本年度の研究実践
複数教師による理科指導
第6学年 B領域(物質とエネルギー)(1) 指導計画作成の観点
○協力教授(複数教師)のための指導計画とする。
○実験学習に関する内容に配慮した立案をする。
○指導目標を細目標化し,これに対する学習内容・評価・教授分担・学習集団を明確にする。
(2) 指導計画の作成
指導計画は,理科研究部をリーダーに学年団の分担協業により作成した。
ア, 目標との関連表
目標と細目標,内容系列,評価等の一連の関連は,つぎの表のとおりである。
イ, 単元指導計画細案
ウ, 指導計画作成上の留意点
○細目標と学習内容の適否および配列をじゅうぶん
項目
単元名細目標 内容系列 評価項目 つるまきばね 1.力と重さは、つるまきばねに対して、同じはたらきをしていることを理解させる ・力くらべの方法力の大きさを数であらわす方法を考える ・力の大きさは数ではっきりあらわせる ・つるまきばねののびと加えた力の関係を調べる
・つるまきばねののびとつるしたおもりの重さの関係を調べる・ばねののびる長さと力の関係をおもりの重さと関係づけることができたか 2.重さと力は同じ単位であらわすことができることをわからせる ・力と重さの関係を調べる力を重さの単位、グラムやキログラムであらわせることを知る ・手ごたえを数量としてとらえることができたか 3.つるまきばねののびは、加えた重さ(力)に正比例することを理解させる ・加える力とつるまきばなののびについて実験をし、きまりをみつける ・実験の結果を記録させ、表、グラフの作り方を見る ・加える力とつるまきばねののびは正比例の関係にあることがわかったか 4.ばねばかりのしくみを理解させ、ばねののびがきまりにしたがうのには一定の限界があることに気づかせる ・ばねばかりの構造を観察する
△つるまきばねの利用
△等間隔の目盛り
△測定限度・ばねばかりのしくみから、ばねののびが重さに正比例するのは、一定の限界があることがわかった 5.ばねのもとにもどろうとする力は、加わる力が大きいほど大きいことを理解させる ・加える方と、ばねのもとにもどろうとする力との関係を調べる ・ばねがのびるほど、ばねのちぢむちからは大きくなること 6.ばねのちぢむ力とばねを引く力はつり合っていることを理解させる ・ばねののびとちぢむ力の関係を調べる
・おもりをつるして静止したとき・つるまきばねをひく、下向きの力と、もとにもどろうとする上向きの力がつり合っていることがわかったか