福島県教育センター所報ふくしま No.21(S50/1975.6) -009/025page

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 現在まで私はいろいろのモデルを見てきたが(市版されているものも含めて),生徒の実態から見て満足がいかないように思っている。それは,全体の動きが同時に説明されていて分析的,あるいは段階的な指導場面が見い出せないという一点である。私は,これらの問題点が解決できるようた器具,指導法を試みたので紹介したい。

 まず器具については, 図ー1 1, 2 に示したとおりであるが,これに図ー2, 図ー3, をセットすると,天体の運動モデルが完成する。なお,図ー1の上円板,下円板は,中心にある軸のまわりに,それぞれ独立して自由に回転するようにしてある(軸と円板とは同定されていない。) しかし,図ー4に示したようなドライブ用モーターをつけ,(図ー1, 2参照),下の円板を回転する(手動で)と,図ー4のゴム円筒を通じて力が伝わって、上の円板も同様のはやさで回転する。しかし,このモーターを回転させながら,前述のような方法で(手動で)下円板を一回転しても上円板は一回転までしない。即ち,モーターによって逆の回転力が与えられるからである(くわしくは後述する)。

図ー4 上円板ドライブ用モーターの減速部
図ー4 上円板ドライブ用モーターの減速部

 モデルの機構は,それだけで極めて簡単である。これに付属品として,図ー1, 2にみるような発泡スチロール球にフェライト磁石を接着したものを準備し,これを目的に応じて,太陽,月,星などにもちいるようにする。また,図ー2のようなカラートタン(青色)を準備しこれに,フェライト磁石付き玉(市販)をつける。そして,図ー1, 1のように,下円板に必要に応じて固定するようにする(この磁石玉は,星座名を記入するためのものである)。図ー3の方位表示板は,図ー1の支持台に,フェライト磁石で,固定するためのものである。また,ドライブのためモーターは,市販のプラモデル用の減速ギヤー(三段)をもちいて,回転速度をかなりおちるようにしてある。

 3. 学習指導におけるモデル利用の例

 (1) 地球と月と太陽との運動を思考する実験

月と地球,太陽の位置関係を図ー5の1のようにならべる(それぞれ発泡スチロール球),次にドライブモーターを回転せずに下の板をHlの方向にゆっくり回転する。

 これによってH2の上の板も同じはやさで回転する。これが,月および太陽の日周運動である。しかしながら,ドライブモータ一を運転しながら,下の板をH1の方向に手動すると,1回転しても,上の板は1回転しない。「つまりおくれて,月は地平線に達する、すなわち,モーターは,月の公転の役割りをはたしたことになる。さらにいいかえると、月は,東から西に日周運動する間に,西から東への運動をおこなったことになる(M方向の運動)。

 図ー5は,3回にわたって,地平線に出てくる場合の太陽の位置のずれを表わしている。いいかえれば,月の出がおくれる様子をあらわしてある。

図ー5 地球・月・太陽の位置(運動)関係を思考する方法
図ー5 地球・月・太陽の位置(運動)関係を思考する方法

 (2) 太陽と星と地球との運動関係を思考する実験

 地球と星,太陽の位置関係を図ー6の(1)のようにならべる。(1) と同様にモーターは固定したまま,回転しないでおく,次に,手動によってH1の方向に下の円を回転させる(東から南を通りτ町へ)。これによって上の円板もH2の方向に同じはやさで回転する。これが,太陽,星の日周運動である。

 次に,ドライブモーターを回転させ(Mの方向),H1の方向に下の円板を回転させると,図ー6 1 のようにMの方向の力も加わるために,下板が1回転しても上板は1回転したいことになる。すなわち太陽は,星よりおくれて地平線下に没するようになる。図ー6は,中学校教材にある『日没直後における星と太陽の位置関係の変化』を3回に分解して図示したものである。

 (3) 外惑星の視運動を思考する実験

 これは,外惑星の順行,および逆行の現象を観測したデーターをもとにおこなわれるモデル実験である。まず,この場合は(1), (2)と異なり,モーターは、この台からとりのぞいてしまう。そして,上円板,下円板ともにフリーの状態にしておき,それぞれHl,H2の方向(同じ方向)に回転しておく,この場合。H1の方を少しはやめに回転しておく,その結果,地球から見る外惑星の方向が,少しずつ変化していくことがはつきりわかる。

 すなわち,順行から留,そして逆行へと移行していく様子がみとめられる。この場合, H1, H2 はそれぞれ,できるだけゆっくり手動で動かすようにすれば,ゆっくりと観察できる。図ー7の1, 2 , 3 の関係をまとめて簡単にあらわしたのが図一8である。

 4. OHP,およぴ簡易製作物による指導

 前述のような学習法を,0HP,や画用紙たどをもち


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