福島県教育センター所報ふくしま No.21(S50/1975.6) -014/025page

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◇学習活動の基礎資料◇

       家庭生活に関する技能の発達について

                              研究・相談部 金木和子

 1. 調査にあたって

 「授業においていちばん気をくばられていることは何ですか。」の質問に対して,1わかりやすく教える 2ひとりひとりの子どもを活発に学習させるとの解答が多かった。ひとりひとりの子どもを学習させるためには,児童・生徒の成長発達を適確にとらえ,それにみあう指導をすることはいうまでもたい。しかし児童の成長発達は昨今の社会の急激な変動により予期以上の変化が与えられていると考えられる。したがって今回は,発達を家庭生活の基礎技能という観点から調査し,発達の要因や条件を探ることを目的とした。以下,その要点をあげて参考に供したい。

 1 調査対象と調査方法

 小学校で家庭科を履修する5,6学年と,中学校は、中間の2年生を選定した。地域性は都市部と農村部とがほぼ同数になるよう抽出し,調査人員は,860名,質問紙による調査と一部に面接調査を加味し実施した。

 2. 家の手伝いはどうしていますか

 現在の子どもは学習に追われ,「お手伝いが少ない」という声を聞くが,上学年にいくほど進んで手伝う,ときどき手伝う者の合計が,下学年より低率であることが表1で明らかである。単なるお手伝いより,家族構成にあわせた分担性の仕事が望ましいと思われる。したがってお手伝いは,男女の特性を生かし,継続的・計画的に実施されるよう指導すべきであろう。

 なお下記の図1の調査からは,女子の年齢の増加にともなってお手伝いする率の変動が,中位・下位群において上位群よりやや大であることが判明した。手伝わない者の理由としては,家族の者がやる,時間的にひまがない,やる気がないなどの理由がえられたことを付記しておく。   

図,1
図,1

調査1 手伝いはどんなにしているだろうか。

表 1
学年 小・5 小・6 小・計 中・2 中・計
地域 都市 農村 都市 農村 都市 農村 都市 農村     郡市 農村 都市 農村    
1 進んで手伝う 9.0 2.8 15.7 7.6 9.0 7.8 13.3 10.5 11.7 7.3 5.1 9.2 9.2 17.5 7.1 13.4
2 ときどき手伝う 45.5 42.9 50.9 46.2 56.0 39.7 56.1 51.4 52.7 45.0 36.4 26.3 40.8 17.5 38.6 21.8
3 ふつうに手伝う 25.5 37.2 26.4 38.5 15.6 30.3 26.6 35.5 23.2 35.2 35.2 51.4 46.1 63.8 40.6 57.7
4 あまり手伝わない 20.0 15.7 7.0 6.2 16.9 15.8 4.3 2.6 11.7 10.1 20.8 11.8 2.6 1.2 11.8 6.4
5 ぜんぜんやらない 0 1.4 0 1.5 2.5 6.5 0 0 0.7 2.4 2.5 1.3 1.3 0 1.9 0.6

                                                    (単位%)

 調査2 約束ごとやきまりを守る状態は,どんなでしょうか。

 仕事のきまりがあっても守るものは,全体の20%前後とみてよいし,守らない者は,1.9〜6.4%の小数である。とりきめのない家庭は,小・男56%,小・女49.4%,中・男57%,中・女57%あり,約半数の家庭はとりきめがなく仕事の面で自由であり,また手伝いのために時間のさかれる心配がない。したがって家庭では,家族の一


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