福島県教育センター所報ふくしま No.21(S50/1975.6) -017/025page

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 (調査報告)

       現職研修の組織に関する実態とその考察

                         研究・相談部 今出昭三

○はじめに

 この調査報告は,校内における現職研修(または研究)の組織や運営について,その実態と問題点を明らかにするための基礎資料をうるねらいで,昭和49年11月に実施したものである。

 その結果については紀要第17号で発表したところであるが,その中から特に現職研修の「活動単位と組織との関連」や「計画策定と組織との関連」についてのべることにする。

 1. 学校経営上の研修組織はどんな実態か

 教育内容・方法の高度化にともたい,県下すべての学校では現職研修の推進にますます力を入れている。したがって,現職研修係の役割は極めて重く,その機能発揮という点から係の組織を検討することは重要である。

 調査結果から研修組織を次のように区別することができた。

 ○第1表ア・イのタイプ……部制であって,しかも研修主任または副主任中心ですすめられそれ以外に役割分担がされていない。

 ○第1表ウ・エのタイプ……委員会制で組織的に審議や計画がなされている。部制であっても主任・副主任以外に役割分担がなされている。

第1表 学校規模と組織タイプ   %
種別規模 小学校 中学校
学級数 1〜6 7〜17 18〜 1〜6 7〜12 13〜
ア 部制で主任のみ 43.3 2.7 0 45.5 26.9 28.1
イ 部制で主任・副主任 32.4 29.7 25.7 20.0 15.4 21.9
(ア イ計) (75.7) (32.4) (25.7) (65.0) (42.3) (50.0)
ウ 部制で,主・副主任のほか係りもおく 10.8 24.3 17.1 10.0 11.5 21.9
エ 委員会制である 13.5 40.6 51.5 25.0 46.2 25.0
(ウ エ計) (24.3) (64.9) (68.6) (35.0) (57.7) (46.9)
オ その他 0 2.7 5.7 0 0 3.1

 これらについては,職員数の多少をはじめ,その他の要素との関係も含め検討吟味を必要とする点でなかろうか。

 また,自校の組織に対する満足度はつぎのようである。

第2表 研修組織への満足感          %
種別規模 小学校 中学校
学級数 1〜6 7〜17 18〜 1〜6 7〜12 13〜
じゅうぶんである 70.3 75.3 88.6 78.0 85.0 73.1 68.8 74.4
不じゅうぶんである 29.7 24.3 11.4 22.0 15.0 26.9 31.2 25.6

 不十分であるという意見はわずかであるが,その理由は次のようなことである。

(小規模校) ・リーダー級の教員がすくない(小) ・職員数が少なく,組織があっても意味うすい(小) ・役割が不明確である(小) ・職員数が少なく,兼務事務が多くて運営に専念できない(中)

(中規模校) ・教務が加わり,行事や学校全体の運営と密接に関連をとる必要がある(中) ・個人研究を主にすすめる場合,組織としての役割が十分に発揮できない(小) ・学校運営組織内の位置づけが不十分である(小) ・校務分掌の関係で専念できない(中) ・係の人員が不足である(中)

(大規模校) ・学年間・学年内の相互関連が弱い(小) ・学校の他の運営組織との関連が弱い(小・中) ・共通理解をもっ上で,相互のつながりが弱い(小・中) ・研究委員会の構成が多岐で,横の連けいがとりにくい(中) ・研修組織を学校組織の中の大きな柱として位置づける必要がある(中)

 これらの理由は学校種別や学校規模に応じて,組織を編成する場合の,極めて重要な点を指摘しているように思える。


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